ブックタイトル平成25年度「学校法人日本赤十字学園教育・研究及び奨学金基金」にかかる教育・研究事業報告書

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概要

平成25年度「学校法人日本赤十字学園教育・研究及び奨学金基金」にかかる教育・研究事業報告書

2007)、看護学生の災害トリアージ訓練を実施後の学びや教育的課題としてまとめたもの(坊田ら,2007、中信ら,2008)等がある。現時点では、学部学生から国際救援コースに取り組んでいる教育機関が少なく、海外研修等の体験として実施したことを報告しているのみである。しかしながら、災害看護学における必要な研究領域と緊急性の高い研究課題(神原ら,2010)によると、災害時の国際的な医療保健活動は緊急な課題ではないが、災害看護学に必要とされる分野として位置づけられている。また、救援看護師を育成するために開始された伝統ある赤十字の大学として、本学は平成12年の開学当初より災害看護学および国際看護学を教授している。国際看護学演習については、平成14年から国際看護学演習(アメリカ)がスタートし、その後、開発協力についての理解を深めるために平成20年度から国際看護学演習(フィリピン)が加わり、平成22年度より国際看護学演習(ジュネーブ)を実施するようになった。その背景には、平成21年に、文部科学省の「大学教育・学生支援推進事業」の大学教育推進プログラム「世界ともっとクロスする救援ナースの育成」に採択されたという経緯がある。このプログラムは、語学力や国際救援活動の基盤となる専門教育を行い、体系的な教育課程を構築し、大学と赤十字関連施設(主に国際医療救援拠点病院)との連携のもとで国際救援看護師の基礎的な能力を育成しようとするものである。1学年20名の定員であり、平成21年度入学生の中から17名、平成22年度は28名、平成23年度は22名と国際活動や英語に関心のある人が入ってきているが、毎年1~2名の学生がこのコースから辞退をしていく現状がある。辞退すること自体は、問題ではないが、本コースを継続し、卒業後も継続して自己研鑽し国際的に活動できる資質を備えた看護師の育成につながることが望ましいと考える。学生を対象としたストレスに関する先行研究は、臨地実習に関するストレスと実習効果(小池,2006、奥,2010、西川,2010)や、ターミナル期の患者を受け持ったときの学生のストレスやコーピング等に関するもの(中山,2011)等のように、特に実習との関係でストレスに注目した研究はされている。また、学生のストレスの心理学的研究として、入学後の時間経過によるストレスの変化(三池,2009)等については、すでに研究がされている。しかしながら、本学独自の取り組みである国際救援コースの学生については、辞めていく現状を明らかにする必要がある。もともと看護大学のカリキュラムは看護師養成の指定規則にのっとり、所定の講義・実習を修了することが求められており、一般大学生と在学中のストレスは異なることが言われている(林,2011)。看護学を専攻している学生は、在学期間中、さまざまな学習課題等を抱えながら、国際救援活動への思いを持ち続けることが困難な状況にあることが想定できる。また、卒後の継続教育においても国際救援看護師になるという強い意思を持って勤務することが困難な状況があることを報告している(高岸ら,2008)。そのストレスや必要となるサポートを明らかにすることで、学部から卒後に連続性のある人材育成が可能になるのではないかと考える。こうした研究的取り組みをすることによって、看護系大学が200を超える現在、赤十字の特色を生かした大学づくりにも貢献できると考えた。- 63 -