ブックタイトル平成25年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

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概要

平成25年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

5.研究報告1)研究の背景医療制度構造改革による医療機能分化が進む中、医療・介護機能再編の方向性が打ち出され、国は、効果的かつ効率的な病院・病床の役割分担を推し進めている。急性期医療の現場では、在院日数の短縮化に伴い医療依存度が高いまま退院を迎える患者が増加している。このような患者には高齢者が多く、とくに都市部の患者は、老々介護になるにもかかわらずそのほとんどが自宅へ直接退院する。医療依存度が高い患者が入院治療から在宅療養へ円滑に移行するためには、退院指導の重要性が高い。しかし、在院日数の短縮により、急性期病院では治療と並行しての退院指導に限界があり、不適切な自己管理が再入院につながった事例が報告されている。また、急性期病院における退院指導は、在宅療養における不測の事態を包含しておらず、実際に退院してから患者がその対応方法に困惑したという事例も抽出されている。本研究の研究責任者らは、医療と在宅とをつなぐ中間施設として介護老人保健施設を活用することを提案し、そのためのツールとしてCOPD患者のHOT導入における「療養支援パス」を開発した(鶴田、川村、酒井他,2012)。この療養支援パスでは、HOT導入患者に対して、病院では急性期のケア、介護老人保健施設では在宅を模倣した退院指導・訓練、在宅では療養支援を行うことが想定されている。その上で、病院・介護老人保健施設・在宅の看護師が継続した看護を提供するために必要な事項が抽出されている。本研究ではアクションリサーチの手法を用いて、この療養支援パスを実際に運用する場合に必要な、病院・介護老人保健施設・在宅の3拠点間の連携システムを構築し、その構築のプロセスを明らかにする。本研究の次の段階ではこの連携システムの試行を予定している。これらの結果は医療依存度が高い患者が入院治療から在宅療養へ円滑に移行するためのシステムを構築する際の資料となる。さらに、医療と在宅とをつなぐ中間施設としての新たな介護老人保健施設の在り方を政策提言するための資料となる。なお、本研究は、研究協力施設となる病院および介護老人保健施設の看護部門の管理者らと、本学の教員らとで将来的に何らかの企画を共同で行おうという趣旨の交流会において提案されたものである。このことから、これら複数の管理者らの中でも、病院および介護老人保健施設の看護部門の総責任者が本研究の共同研究者となっている。2)研究目的本研究の目的は、COPD患者のHOT導入に伴う病院・介護老人保健施設・在宅の3拠点の看護の連携システムを構築することおよびそのプロセスを明らかにすることである。3)研究意義本研究の結果は、医療依存度が高い患者の中でも、とくにHOT導入をしたCOPD患者が入院治療から在宅療養へ円滑に移行するために、介護老人保健施設を中間施設として活用したシステムを構築する際の資料となる。さらに、医療と在宅とをつなぐ中間施設としての新たな介護老人- 100 -