ブックタイトル平成25年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

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概要

平成25年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

たほうが、入学に有利であるといったことが考えられる。しかし、入学前に比べて、入学後のボランティア体験が15%ほど減少していることから、入学前から行っていたボランティア活動が継続されない状況がうかがえる。これは看護学生のボランティア活動について調査した柿原ら(2003)の結果と同様であった。学業との両立やアルバイト、実習、ボランティアについての認識などの影響が考えられるが、今後はその要因についても調査する必要がある。A大学(看護系)の学生における入学後のボランティア活動の体験については、体験回数は1回または2回が最も多かった。5回以上と回答した学生も多く、同じ学生が継続して何らかのボランティア活動を行っていることが推測される。ボランティアの種類については、赤十字の大学という特徴から赤十字関連の活動が他の種類に比べかなり多かった。これは、日本赤十字社や支部から直接ボランティアについての情報が入り、情報収集のし易さから参加しやすい環境にあることが考えられる。ボランティア活動から影響を受けたことについては、人との出会いや視野の広がり、他者理解が多かった。活動によって大学生活以外に視野が広がり、新たな人との出会いによる他者理解に繋がったことが考えられる。特に他者理解は看護にとって必要な要素であるため、看護者としての成長にもなる。B大学(看護系以外)における入学後のボランティア体験者は13名と少なく、A大学と比較することは難しい。しかし、ボランティア活動から影響を受けたことに、人の話を丁寧に聴くことやコミュニケーション力がついたといったコミュニケーションスキルに関することの割合が多かった。看護系ではない一般の大学生にとってボランティア活動は、コミュニケーションに関する影響が大きいことが推測される。(2)ボランティア活動と社会的スキルについてA大学(看護系)の社会的スキル得点は58.65となり、大学生標準化得点(菊池2007)の男女平均53.03より5ポイント高く、大学女子の平均値58.35(菊池1994)や看護学生を対象とした研究の58.25(野崎他2002)、55.49(武田他2012)とほぼ同じか若干高かった。B大学(看護系以外)の得点は54.47であり、標準化得点より1ポイント高かった。看護学生は他学科の学生と比較して対人関係に自信を持つ学生が入学し社会的スキルが比較的高い(野崎他1999)と言われており、今回の調査でも同様であった。また、A大学(看護系)の学年別の平均得点は、1年生が最も高く、2年生が最も低く、3年生、4年生と得点の上昇がみられた。この結果も先行研究(武田ら2012)とほぼ同様であった。2年生は、専門的な講義や演習、実習が進み、現実の看護という職業の厳しさに直面し、自分の知識・技術への不安や今後の実習への不安を持つ時期になるためと推測される。入学後のボランティア活動の有無による社会的スキル得点は、A大学(看護系)では有意差はなく、B大学(看護系以外)では有意にボランティア活動体験のある学生の方が高- 11 -