ブックタイトル平成25年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

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概要

平成25年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

回は、一度のアクションに留まり、かつ「ICUの面会規定緩和時フローチャート」は作成しただけに留まっている。ARとは、問題の分析、事実の発見、問題の概念化、対応策の計画、計画の実践、成果の評価のプロセスを経て、一つのサイクルが終了したら、同じサイクルを繰り返して問題解決に迫るものとされる(佐野,2010)。本研究においても、今後も研究実施施設での活動を継続し、改善実施後の評価と修正が必要と考える。2.ARを実施したことによる面会拡大の効果本研究では、アクション前後で、ICU患者家族と研究実施施設ICUスタッフへ、面会について、同じ内容のアンケート調査を実施し、前後で比較検討を行った。その結果、数値データには有意な差はなかった。しかしながら、アクション後のICU患者家族の自由記載において、「スタッフの面会に対する志気の高さを感じる」「(ICUへ面会での入室時)、必ず看護師が患者のベッドの所にいて待っていてくれる」というものがあった。また、研究実施施設ICUスタッフから、アクション後に「ICUの面会規定緩和時フローチャート」の作成の提案があるなど、ICUの面会拡大にポジティブな面が見られた。本研究では、特にICU患者家族の調査対象数が少なかった面があるため、今後も研究実施施設での活動を継続し、改善実施後の評価を繰り返していく必要があると考える。3.本研究のアクション後に作成した「ICUの面会規定緩和時フローチャート」前述のように、研究実施施設ICUスタッフから、アクション後に「ICUの面会規定緩和時フローチャート」の作成の提案があり、図2に示すフローチャートを作成した。ICUにおける家族援助への実践においては、ICUの経験年数により違いがあることが報告されている(松浦他,2008)。また、我々が先行研究として行った「日本の集中治療室における面会の実態調査」において本調査において、面会が許可される人は、〈曖昧〉な面があることを報告した(百田他,2014)。特に、ICU入室患者家族のニーズのうち、「面会における融通性に関するニーズ」には、個人差があることも報告されている(辰巳他,2005)。つまり、規定以外の面会の対応については、臨機応変の対応がなされている現状であるが、それを判断する看護師の経験年数による対応の相違がある。特に、施設の面会の規定において、曖昧な部分があり、その都度、個別の判断が必要となるが、加えて、ケアの受け手である家族のニーズも個人差があるため、判断が難しい場合も考えられる。従って、今回作成した「ICUの面会規定緩和時フローチャート」において、規定以外の面会に対する看護師の対応の標準化が進む可能性があり、今後実際に運用し効果を確認したいと考える。4.本研究の限界と今後の課題本研究で、ARの方法論を用いることにより、1プレステップフォーカスグループインタビュー、2アクション前調査、3アクション方法検討、4アクション実施:ICU面会方法の改善、5アクション結果確認フォーカスグループインタビュー、6アクション後調査というプロセスにより、ICUにおける面会拡大に取り組むことができた。このことは他施設で- 128 -