ブックタイトル平成25年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

ページ
14/178

このページは 平成25年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書 の電子ブックに掲載されている14ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

平成25年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

かった。A大学(看護系)の学生に差が認められなかったのは、入学前からボランティア活動の体験があるものが多いこと、看護職を目指して入学してくる学生は既に社会的スキルがある程度育っていることから得点が高く、天井効果のためと推測される。この結果は看護学生のボランティア活動と社会人基礎力を調査した報告(東ら2013)と同様であった。ボランティア活動と社会的スキルの関連を明らかにするには、入学前にボランティア体験がなく、入学後に体験のあった学生を抽出して比較する必要がある。B大学(看護系以外)の学生は、入学前のボランティア体験者が少なく、対人関係といったスキルがまだ育っていないことから、ボランティア活動によって社会的スキルが育成されたと考えられる。ボランティア活動から影響を受けたことが、コミュニケーションに関することと回答した割合が高かった結果からも裏付けられる。これらのことからは、ボランティア活動体験は、社会的スキルを育成することに役立つと言える。具体的に社会的スキルのどのようなスキルが育成されたのかは、下位尺度別に分析を進めなければならない。ボランティア活動は、その自発性、無償性、連帯性という性格から学生自らが人間関係能力を向上させることに繋がる。「受け身」的な学生が多いと言われている昨今、授業や演習・実習という用意された環境で学ぶ以外に、自らが関心を持ち、考え、行動するボランティア活動は人間的成長に大きく貢献する。特に看護においては、他者理解、コミュニケーション力、問題解決能力は必要不可欠であり、ボランティア活動によってこれらの力が育成されるような経験が必要である。また、社会的スキルと自己効力感とは高い相関があり(小田他2003、野崎他2002)、自分に自信を持つことが積極的な対人関係や自己表現、行動の調整に繋がることから、自己効力感が高まるような経験も社会的スキルの向上となる。人と関わることに積極的になる体験と自信をなくす体験を両方体験している学生の社会的スキルが高い傾向にあったという報告(野崎他2002)から、ボランティア活動での具体的な体験内容が重要である。したがって、学生の社会的スキルを育てるためには、ボランティア活動の推奨と自発性を尊重しながらのサポート、学生個々の体験の意味づけ、そして時には高い課題を持たせるといったことも必要である。(3)今後の課題今回の調査では、看護系大学生と看護系以外の大学生の比較を行った。しかし看護系以外の大学生の回答数が少なく、比較するには不十分である。そこで看護系以外の回収率を上げるため現在も調査協力を募っている。したがって今後、対象者を増やした上でさらに分析を進めていく予定である。また、有意差の認められなかった看護系大学生のボランティア活動の有無別の社会的スキルについては、下位尺度別の分析も必要である。5)結論(1)A大学(看護系)の学生は、入学前にボランティア活動体験のある学生が約60%- 12 -