ブックタイトル平成25年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

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概要

平成25年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

災者”といわれるケア提供者自身の心のケアが、帰還後1ヶ月以内の早期から継続して長期的に関わっていく必要性があること、さらに少数ではあるが重症化しているケースもあり個別介入等も含めた体制構築が必要であることが明らかになった。(2)心のケアサポート1帰還後1ヶ月以内の早期介入の必要性帰還後心のケアを受けた人は、派遣された救護員の約25%で、そのうち1か月以内に8割以上の人がケアを受けていた。災害後の被災者のためのサイコロジカルファーストエイドは、受療しなかった層に高いPTSD得点を示した人が多かったため、早期支援の脱専門化ということで、1ヶ月以内の早期介入を勧めている(明石、2009)。今回の調査では、救援者自身が自ら1ヶ月以内にケアを受けていた。帰還後早期(1ヶ月以内)に介入をすることで、より重症化することを避けることにつながると考える。2継続したケアの必要性一方で、発災から18ヵ月後の調査時点のGHQが最高得点の人もあり、こうしたケースの要因の分析や個別介入の必要性も明らかになった。また、帰還後、心のケアを3か月以内に受けたのが1割以上あり、長期にフォローをしていく必要性もある。早期支援から、その後の治療への橋渡しを円滑に行う必要があり、援助を必要な人を孤立させないようにすることが極めて重要で、今回のFGIで明らかにしたように、大規模災害時に被災地身に看護職員を派遣する際のシステムを派遣前から活動中、活動後にかけて構築する必要がある。さらに派遣された人のみならず、その人たちが活動している期間中後方支援をしていた看護職員たちへのフォローも重要であることが明らかになった。(3)赤十字救護要員の心のケアのための派遣ガイドライン作成日赤病院では常備救護班を編成し、早急に出動できる体制を整えてはいるものの、今回のような大規模災害の場合は、現地での活動内容は想像を超える困難に直面する。派遣された看護師が、災害サイクルに応じて、各自の能力を十分に発揮するため、派遣時の人選を適切にコーディネートし、事前の準備を十分に行うことが救護要員の心のケアにつながると考えられる。また、派遣チームごとに、派遣前から帰還後までの心のケアを配慮したサポートが必要であるため、派遣のための心のケアガイドライン等によって徹底することが重要である。5)謝辞本研究の研究協力者として、質問紙調査、面接調査にご協力いただきました赤十字救護要員の皆様に心より厚く御礼申し上げます。また、研修会にご参加いただきました皆様に深謝申し上げます。本研究について、ご理解、ご助言いただきました兵庫県立大学看護学部名誉教授近澤範- 139 -