ブックタイトル平成25年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

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概要

平成25年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

腹膜透析および血液透析を受ける人と家族の体験をふまえた支援の構築-急性期病院での透析導入から通院生活を視野に入れて-2)研究目的急性期病院で腹膜透析あるいは血液透析を導入し、通院生活をする人とその家族の体験を明らかにする。それを踏まえて、支援体制とその方法について考察する。3)調査期間平成25年6月~平成26年3月4)調査内容患者及び家族の体験を分析するためには、文脈との関連における当事者の生活と意味づけに焦点を当てながら詳細なデータを収集する必要がある。そのため、透析導入時期や入院中、あるいは通院治療中の患者と家族の体験について、60分程度の半構成的インタビューを行った。5)結果平成25年度は、血液透析開始後1年半~2年の維持期にある患者の体験と、透析療法を受ける患者の家族の体験に関するインタビューデータの分析を行った。血液透析を受ける患者の体験については、血液透析を導入後2年以内の患者を対象として、50代~80代の男性4名、女性2名にインタビューを行った。6名の語りから、【突然の導入】、【仕方ない】、【生活や社会関係の変化】、【傷つき体験】、【飲水の社会的意味】、【慣れた感覚はまだない】という6つの特徴が見いだされた。また、血液透析を受ける患者家族の体験では、30代~80代の5名の家族から語りを得た。家族は、患者が透析導入をしたとき【突然、いきなり透析】という衝撃の体験をしていたり、【洗脳されていく感じ】と透析療法を徐々に受け止めていたことがわかった。また、透析療法に慣れるまでは、患者の体調の不調や透析のトラブル等に戸惑いを感じたり、患者が自ら透析療法を選んでいるにもかかわらず【腎移植】という治療選択をめぐって葛藤していた家族もいた。さらに、高齢家族が高齢患者をケアしている場合には、【介護する人の健康が大事】と家族が自分自身の健康に気を配っており、【心配なことは医師や看護師に聞く】、【自分はわからないから医師に任せる】と、医療者に支援を求めたり任せたりすることにより、安心を得ていたことが明らかになった。なお、血液透析を受ける患者の体験に関する研究成果については、平成25年11月に開催された看護系国際学会で発表した(資料1)。透析療法を受ける患者家族の体験については、平成26年6月の看護系国際学会にて発表予定である(資料2)。2.今後の課題今後は、腹膜透析を受けている患者の体験についても分析を行い、透析療法を受ける患者・家族の体験をふまえて、透析看護に関わる実践家と協働しながらアクション・リサーチの方法を用いた「透析療法導入前後の患者・家族への支援モデル」の検討を試みる。- 146 -