ブックタイトル平成25年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

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概要

平成25年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

(2)「フランクさ」への感動と戸惑い参加者は、学生が見学者である自分自身に対して、構えることなく「フランクに」接する様子に触れたことが語られた。そのことは、「『これってどうやったらいいんですか』とか結構受け入れてもらったというか…」と学生が自然に自分自身を受け入れてくれたと感じられ、感動を伴う体験であったことが語られた。一方で「(相手が)患者様ってなったときに、『尊い人』っていう意味でみてくれるかな」と語り、学生の自分自身に対する態度の延長に、患者に対する接し方を見て戸惑いを表現した参加者もいた。(3)演習と実習の繋がりの中で指導する演習参加後の実習では、自分自身が学生だったときとの違いに戸惑いを覚えつつも、とにかく演習見学で自らが体験したことを振り返りながら「大学ではこうだったよねと自分も思い出しながら関われた」と語った。また、大学で学んだことと、実習指導者の言うことが異なる状況があった時「学生さん(は)、そういう小さなことで結構混乱する」ので、自分自身が技術演習に参加したことで、どのように教わってきたかが共有されて「(そういう)混乱が生まれない」とも語られた。参加者は学生の大学での学びと実習での学びを上手く「繋げる」ことができたことに何かしらの達成感を感じていた。d.考察学生にとって言わば「ホーム」での、生き生きした様子に触れることは、「このような学生の表情が実習中でもみることができるとよいな」といった具体的に目指すべき顔がみえることでもあろう。学生が学んでいたことと実習での学びを「混乱した顔」ではなく目指す顔、つまり「すごく嬉しそうな顔」で繋ぐことができたときに指導者としての喜びや達成感が生まれるのかもしれない。参加者が、学生のフランクな様子や生き生きした表情に感動したり戸惑ったりしながら得たものは、驚きや感動、つまり情動と結びついた体験であったと考える。そのような体験は、参加者自らが学生だったときの体験を揺り起こしたり、後の実習体験と結びついたりしながら、参加者の内に体験の新たなネットワークを形成する可能性がある。その新たなネットワークを介した「まなざし」は、学生のちょっとした表情の変化を捉えるなど「見える世界」に変化を起こし、そこから生み出される解釈は、目の前にいる学生へのより深い理解に繋がることが示唆された。e.結論大学での技術演習に参加することは、学生のより豊かな在り方に触れることから参加者に様々な情動体験を生んでいた。それが参加者の内に体験の新たなネットワークを形成し、より深い学生理解へとつながる可能性が示唆された。4.大学と実習施設が協働企画運営する実習指導者研修プログラムの評価4―他施設での実習指導見学の体験―- 167 -