ブックタイトル平成25年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

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概要

平成25年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

性期に入り,復興支援が重要な時期となったといえる。医療ニーズとしては,被災者のこころのケアの継続とともに,慢性期疾患の対策,感染症対策,自立支援医療が求められる(小原他,2010)。現地からの報告でも,インフラも仮設・応急的であるが整い,そろそろ「現地」が「現地の人」が自立しなければならないという雰囲気であり,被災直後とは支援の内容も方法も変わっていることを十分理解することが重要である(佐々木,2012)。災害復興は災害前とまったく同じ施設・機能に戻すことではなく,その定義は地域が災害に見舞われる前以上の活力を備えるように,暮らしと環境を再建することである。阪神・淡路大震災のおり,復興理念は,1)被災地域の再建,2)被災地域を中心とした経済再建,3)被災者の生活の再建とされ,この3つの要素のうち,どれか1つでも達成できなければ,復興は完成しない(林,2003)と言われている。看護の視点では,3)の「被災者の生活の再建」が深く関わりをもつ要素であり,林(2003)は,神戸市における調査の結果,生活再建の要素として,1住まい,2人とのつながり3まち4備え5こころとからだ6くらしむき7行政とのかかわり,としている。この中でも特に看護分野として関わることができる「2人とのつながり」「5こころとからだ」「6くらしむき」を中心に,在宅ケア支援を通して関わり,潜在的ニーズの把握と,これらの現状を「7行政とのかかわり」につなぐ役割を担っていく必要があると考える。東北の被災地では,公衆衛生の視点からポピュレーションアプローチによる健康増進・介護予防への取り組みが展開され,発災当初から懸念されていた被災者の心のケアについては,社会福祉協議会を中心に「お茶っこサロン」などが定着してきている。しかしながら,陸前高田市保健医療福祉未来図会議(旧:包括ケア会議)の報告書によると,これまでは仮設住宅を中心に行われる支援が多かったことにより,仮設住民と非仮設住民(自宅避難者・個人宅避難者)の気持ちの温度差があり,今後の市全体のコミュニティ形成に支障をきたすのでは,と危惧されている。平成23年4~5月に行われた調査の結果(東日本大震災にかかる陸前高田市「健康・生活調査」結果報告書)では,在宅ケアが必要な要介護・要支援者の所在地は自宅である場合が多く,これらの非仮設住民は,被災前後とも,要介護・要支援者を抱え生活を送られていることが伺え,さらには震災の影響による,軽介護者を含むデイケアやショートステイの利用者,ならびに要支援認定者が増加傾向にあることが明らかとなった。平成24年10月から,施設利用料の免除措置が終了することから,自己負担額の増加に伴う利用者の在宅への移行が急速に進むことが予測されている。しかしながら,その一方では陸前高田市役所より施設内外での介護要員の不足しており,地域住民の相互支援を推進する方針が打ち出された。本研究は平成23年度,赤十字6看護大学における看護ケアプロジェクトの一環で本学が行った要介護者,要支援者を介護している住民仮設住宅住民を対象に行った参加型の健康教室,翌平成24年度の仮設・非仮設を超えた地区内での公衆衛生の視点での健- 16 -