ブックタイトル平成25年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

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概要

平成25年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

的にも高齢率が高い同地域において,認知症の早期発見,自殺予防は重要課題であると考えたが,すでに市及び他団体での事業が始まっているため,重複をさけ,看護大学の強みである看護(介護)の知識と技術の教授,それらが地域への拡散を狙い,「元気な高齢者が高齢者を支援する」といった相互支援のしくみづくりを狙い,3回の養成講座を企画開催した。参加者は介護経験者が半数以上を占めてはいたが,地域住民との交流を深めたい,自分にできる事を探したいとの強い動機を持つ参加者が多く集った。参加者こそ,第1回目は両日23名,2回3回目はヒト桁台の参加人数と激減はしたが,講座テーマが,関心の高い認知症や人間の基本的欲求,日常生活行動で最も頻度が高い排泄行動や食行動,それに関連づけた活動と休息に焦点を当て,座学の講義だけでなく,デモンストレーションや実技を中心に講座を進めたこと,わかちあい時間も設け参加者の意見交換,交流時間を設けたことが,参加者のボランティア参加意欲につながっていたと推測される。毎回の講座の評価アンケートでは全員が高い評価をしており,講座の企画運営,講座内容に参加者は満足をしており,もっと学び実践したいとの声がきかれた。また,参加者の動機づけとなったのが,陸前高田市の「お助け隊」への登録や市のコーディネートで施設等でのボランティア活動に参加でできたことであろう。地域貢献が形となり,さらにはボランティアとして自分にできることと課題を見つけることができていた。今後は,自宅での介護はもちろん,近隣者への言葉かけ,配慮,介護施設等でのボランティア実践の幅は広いため,対象を絞った講座の内容の検討や今回,市が行った派遣システムと連動したボランティアの養成も必要である。今回の参加者は,のべ39名と数こそ少ないが,震災の影響で要介護・要支援者の急増,福祉サービスの需要が拡大したこと,陸前高田市や地域の医療・社会福祉法人はサービスの拡大をいそぐ一方,それを支える人材不足によりデイサービスやショートステイ等のサービスを受けられない方も多くいること,介護施設では職員自身が被災し,通勤困難による退職者の増加で人材確保が困難である現状をかんがみ,介護を必要としている人が安心して介護が受けられる環境整備,介護者,介護職者の負担の軽減にむけた第一歩であるといえ,本事業の有効性が示唆できる。ソーシャルキャピタルは「人々の協調行動を活発にすることによって,社会の効率性を高めることのできる,信頼・規範・ネットワークと言った社会祖組織の特徴」と定義され,市民活動量と各要素は正の相関関係があるとされている(厚生労働省,2014)。政策効果や経済・社会にとって非常に重要で持続可能なコミュニティの構築や地域発展と関連があるとのツール.健康増進に導く可能性があるといわれ,今後,地域の健康指標と本事業参加者や地域住民のソーシャルキャピタルと市民活動量と合わせて調査が必要であると考える。(2)来年度に向けての課題2回の講習会を経て,施設にボランティア体験を経て,3回目に振り返りを行うこと- 25 -