ブックタイトル平成25年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

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概要

平成25年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

また,今回は,1回のみの介入であり,その介入の直前・直後に測定した値である。よって,短期的な効果の評価に留まり,効果の持続性は検討することができない。長期的な持続効果は,不明であるが,短期的には効果があるという結果から,定期的にリラクセーションの機会をもつこと,また,呼吸法や筋弛緩法などセルフケアとしてのリラクセーション法(小板橋,荒川,2013)を用いることにより,自分自身でよりよい状態を保っていけるような習慣をつけていくことがストレスマネジメントにおいては有効ではないかと考える。アロママッサージにより《心身の苦痛が緩和》され,《気持ちも前向きになる》という効果があった。さらに,ケアを受け身体が楽になることで,次の《仕事へのモチベーションの向上》につながっていた。看護師として,患者によいケアを提供するためには,看護師自身が心身共に「Well-Being=よい状態」であることが重要であり(小林,2006),心身の不調があれば,患者の苦しみや辛さに対する本来の看護の役割である「癒し」を行うことは無理であるとの指摘もある(藤崎,2008)。震災の如何に関わらず,看護師が本務を遂行する上で,自らが癒された状態であることが必要であるといえる。そのために,リラクセーションの果たす役割は大きく,セルフケアとして,セルフコントロールできるようになっていくことが必要であると考える。しかし,現在は,大震災後のハード面ばかりでなく,精神面においても復興の最中であり,【復興の過程での理想と現実の乖離による葛藤】を持たれている時期でもある。よって,看護職自らが,ケアを受けるべく存在であることを認識すること,必要に応じてケアを享受できる環境を整え(山本他,2014),【自分の身体に注意を向けるきっかけ】をつくり,セルフケアにつなげていくことが,心身の健康を保ちつつ,《仕事へのモチベーションの向上》させ,看護師としての職務を遂行していく上での支えになると考える。被災状況や復興の進度に差異があるため,《震災の話題を避ける》《周囲に気を遣い辛さを表現できない》《吐き出せない思いがある》中で,《気持ちを抑制し折り合いをつける》ことで,現実に立ち向かっておられた。本来であれば,スタッフ同士で認め合い語り合うことで,自浄され癒される事(山本他,2014)であっても,それが難しい状況である。今回のような,リラクセーションのケアが,日ごろゆっくり考えられないことに気づき《自分自身を振り返るきっかけ》《気持ちを吐露できる機会》となっていた。【周囲に気を使い,本音が語れない状況】において,【癒しの効果を実感し辛い気持ちが吐露できる】場を提供するという意味でも,リラクセーションのケアの意義は大きいと考える。看護職特有の結果として,自らが心地よいケアを受けることで,その心地よさをさらに相手に伝えたい,与えたいという《他者へのケアリングの気持ち》が把握された。【多忙・複雑化する業務】でストレスフルな状況において,[仕事が増える一方で疲弊している]現状である。看護者がHuman Careを行うには,暖かく心の通ったケア意欲- 40 -