ブックタイトル平成25年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

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概要

平成25年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

が不可欠であり,看護者のケア意欲の喪失の予防が必然である(稲岡,1988)。手を介したケアにより,[頑張らなくてもいいよというメッセージがもらえる][マッサージは言葉より気持ち支えられる]など,《癒しの効果を実感する》機会になっていることからも,看護師自身が癒される体験をすることが,ケア意欲の維持に有効ではないかと考えられる。アロマセラピーの効果を明らかにするために,同一の対象者について,介入前後での比較を行った。本来であれば,ケースコントロールスタディーや,クロスオーバースタディーにより,アロマオイルを用いるマッサージ,アロマオイルを用いないマッサージの2パターンの介入を行い,アロマセラピーの効果を明らかにする必要があった。今回は,参加者の中に妊娠中の方がいたことから,この2名に対して,アロマオイルなしのマッサージを行った。対象数が少ないため,統計的な解析ができないものの,アロマセラピーを用いた時と同じように,POMS短縮版の6因子全てに改善傾向がみられた。よって,アロマオイルの有無に関わらず,マッサージのみにおいても,気分プロフィールの改善効果が期待できる可能性が考えられる。アロマセラピーは,香りとタッチにより身体だけでなく心や魂をも含めて,人と人が深く繋がり,お互いのかけがえのなさを確認する「癒しの技」である(今西,荒川,2010)。アロマオイルを用いることの意義として,薬理作用による苦痛症状の改善と香りによるリラクセーション効果が期待でき,さらに,アロママッサージという手を用いたタッチにより人と人の繋がりを感じることからリラクセーションやケアリングの効果も期待できるといえる。今回の介入にアロママッサージを用いたが,すべてが,アロマとマッサージによる効果以上に,[気持ちの奥底に沈んでいたものが出て行った][話をゆっくり聞いてもらえるだけでも違う]など,《気持ちを吐露できる機会》となっていたこと,[手の温かさが気持ちいい][頑張らなくてもいいよというメッセージがもらえる][マッサージは言葉より気持ち支えられる]という結果から,人と人の繋がりによるケアリングの作用も大きく影響しているのではないかと考える。(3)本研究の限界本研究は,震災後2年目にあたるある一時期に20名の看護職の語りからストレスの実相を記述したものである。この結果が,震災後のストレスの全容を現すものではなく,すべての看護職に共通するものでもない。また,リラクセーションケアの効果を考察するため,アロママッサージを用い,POMS短縮版を用いて評価したが,被災地での研究の限界からコントロール群を用いた比較ができず,ケアとしてのアロマセラピーの効果を結論付けることはできない。5)謝辞- 41 -