ブックタイトル平成25年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

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概要

平成25年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

の引き継ぎであった。救援者に対するものとしては、職員への支援(こころのケア)があげられた。9活動内容活動内容は活動目標と一致していることが多かった。内容としては、ほとんど被災者集団を対象としたものがあげられ、(1)入居者世帯票の回収、(2)傾聴や共感、(3)巡回診療・血圧測定(診療)、(4)保健師からの情報収集と提供、(5)他職種との連携であった。救援者に対する活動内容としては、(1)リフレッシュルーム運営(リラックスの提供)、(2)被曝の不安への対処:「職員の不安対策として、玄関フロアに被爆者トリアージを設置し、被ばくの可能性を推定した。」、(3)こころのケア:「救護者のこころのケアは、出動前、出動中、出動終了後の十分なミーティングを行う必要がある。」があげられた。10活動への評価・課題活動への評価と課題としては、心理社会的支援の内容や位置づけに関するものがあげられており、(1)こころのケアについての迷い:「こころのケアとは何か、今後のために詳細な検討が必要。」、(2)知名度の低さ:「日赤のこころのケアへの理解がされておらず、活動しにくかった。」である。また、日赤の心理社会的支援の内容・範囲に関わるものとして、困難な対応事例:「発達障害者を家族にもつ一家は、集団生活になじめず依存的で問題をかかえていた。」があげられる。11今後の展望と課題今後の展望と課題としては、(1)「こころのケア」の知名度が低い、(2)「こころのケア」の役割が不明、(3)「こころのケア」研修が不十分、(4)フォローアップ研修の必要性、(5)行政や担当者間の責任の所在が不明の5点があげられた。4)考察これらの結果から、以下の3点が課題とされた。1「こころのケア」要員の能力とアイデンティティ「こころのケア」要員では扱えないほどの強いうつ症状への対処をどのようにするかが明らかにされる必要がある。また、受け皿の医療機関の機能不全などから十分な援助ができないというもどかしさを、どのように解決につなげるかがあげられる。これは、照会がシステムとして、うまく機能していないことを示している。いずれにしても、以下に挙げたように、派遣前の準備としての研修やその内容が十分に行き届いていなかったことを示していると考えられる。また、看護師としてのアイデンティティとの間で、「こころのケア要員」として活動することに葛藤が強かった。これに対しては、看護師が「こころのケア要員」をする場合には、どのような特色をもつ内容をカヴァーできるのかを明確にする必要がある。2知名度の低さ日赤の「こころのケア」という活動が、医療仲間にも住民にも理解されにくかった。2研修の充実- 78 -