ブックタイトル平成25年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

ページ
84/178

このページは 平成25年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書 の電子ブックに掲載されている84ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

平成25年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

3)研究結果表2に、5原理ごとに対応するマニュアルにある活動の記述を整理したものを示した。表にあるように、赤十字の心理社会的支援では、平穏化のための活動が多くを占め、なかでも個別対応の傾聴活動が多くを占めていた。これに比べると、安全、効力感ときずなの活動はかなり少なく、希望に当たる活動はほとんどなかった。赤十字の心理社会的支援では、活動期間は最短で3日であり、その中で傾聴を中心とした個人的・心理的介入に重点が置かれていることは、単回の一時的な関係の中で実施することになる。これは、平穏化について好ましくないとされる心理的デブリーフィングに当たると考えられ、特に、下線で示した「話を引き出す」活動には注意が必要である。表2心理社会的介入の5原理とそれにあたる日赤のこころのケア活動原理日赤のこころのケア活動「急性期の医療救護と生活支援」、「医療救護活動は、被災者のこころのケアとなる」、「保護と身体的救護、物質的な支援を優先する」、「あらゆるニーズに誠実に臨機応変に対応する」、「こころの問題でなくても耳を傾け一緒に考える」、「救護員の存在そのもの1安全が安心感を与える」、「赤十字マークが有効で、自分から自己紹介する」、「正確な情報を提供する」、「できること、できないことをはっきり返事する」、「被災者の不安感を受け止めつつ救護にあたる」「救援物資や炊き出しなどは、こころの安定の基本」、「適度な運動や食生活などの健康上の助言」、「ストレスの程度の判断に基づきストレス緩和」、「ストレスの程度によっては救護所や専門家への紹介」、「救護員との対話や交流がストレス緩和になる」、「行政機関職員、リーダー、教員への対処法の指導」、「子ども:成長発達段階によって異なることを考慮」、「子どもの典型的なストレス反応として退行がある」、「高齢者を一人にしない、正確な情報」、b)「共感的、支持的、肯定的、積極的な態度で話を聞く」、「気持ちをありのままに受け止めむやみに励まさない」、「顔を見て、目と目を合わせ、上ずった声にならな2平穏化い」、「耳を傾けていると分かるしぐさ・表情に気をつける」、「相手との適当な距離と位置関係にも留意する」、「『傾聴』し、相手の話を自然に引き出す」、「被災者のペースに委ねて『聴き役』に徹する」、「体験を語りたくない被災者は、それを尊重する」、「被災者が話を始めたら、『誰が』『何を』『いつ』『どこで』『どうやって』の質問を使い体験の事実を聞く」、「黙ってそこにいる=そっと寄り添う」、「グリーフケア:個別性を尊重する」、「死亡の状況を配慮して説明する」、「グリーフケア:不用意に感情表出を促さない」、「遺族のニーズに合わせる」、「グリーフケア:ケアギヴァーの限界を知る」、「災害では複雑化した悲嘆に注意が必要」、「うつ/希死念慮/アルコール依存など」「現在までの努力と対処の仕方を認める」、「できなくても行動を強要せず、自己決定を尊重する」、「高齢者が役立っていると感じられる機会を作る」、「避難所の責任者は、避難3効力感者でありながら責任者としての職務にあるので、労をねぎらい、負担を分担して、安心して活動ができるように対応する」、「こころのケアと言わない」、「助言は具体的で実際的であること」「集団で催される行事やレクリエーション」、「災害対策会議や連絡会議で情報を収集する」、「地元の支援者は復興の主体であり活動を支援する」、「地元の職員のストレス緩和を支援する」、「引継ぎ後の有効な支援体制の継続に配慮し、当初から地域の人材を活4きずな用」、「他のこころのケア専門団体との協働」、「地元、臨床心理士会、保健師、ボランティアとの連携」、「子どもだけでなく保護者や周囲の大人を支援する」、「資源を喪失し孤立している高齢者には支援が必要」5希望「高齢者は、将来を思い描けない特徴があることに配慮する」- 82 -