ブックタイトル平成25年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

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概要

平成25年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

ことはトラウマとなることがあるので避ける必要がある、2新しい犠牲者の予防:光景や音、臭いなどへの暴露を避ける、3「疾病化」による苦痛の防止:正常反応に対して疾病というラベルを張ることを避ける、4急性症状のある個人の確認:顕著な身体的ストレス症状がある人には医療処置が必要である。2)危機介入危機介入は、現在も災害カウンセリングの中心にある。危機介入はストレスに圧倒された人たちを援助するテクニックである。2つのカギとなるツールは、傾聴と問題解決である。傾聴は、信頼関係と尊敬を構築し、生存者の状況とニーズを理解するために行われる。行動の焦点を置く問題解決アプローチも信頼を形成する。3)社会的サポート社会的サポートのネットワークは、災害トラウマの悪影響を低減するために重要な情緒的・物質的援助を提供することができるものである。サンフランシスコ地震後には、危機に対応して、すぐにホットラインが設置されたが、81%が女性からのもので、その19%が子どものことで、71%が自分に関する内容で、不安、恐怖、睡眠障害、うつ、消化器障害などであった。道路が閉鎖され、携帯電話も使えず、インターネットも使えないという、多くの災害において、社会的孤立は心理的脅威の一つとなる。過去の災害でも、地域の社会的サポートが重要な役割を果たしてきた。また、災害をきっけかとして形成される社会的絆は特に強力である。4)心理的トリアージ災害の発生直後における、メンタルヘルス専門家の最も重要な役割のひとつが、だれが精神医学的な問題のリスクが最も高いのかを明確にすることであり、詳しいメンタルヘルス評価と必要なら治療のために照会を行うことである。精神的な困難は、出来事に最も近い人が最もリスクが高いという、量―反応曲線に従っているようである。以下の特徴が、精神医学的有病率を増加させる。1生命の危機、2身体的傷害による苦しみ、3死体や損傷への暴露、4予想しない暴力的な死の目撃、5親しい人の予想しない暴力的な死を知ること、6誰かが化学的生物学的毒物に暴露されたことを知ること、7(軍事行動などにより)他者に対して死や重度な危害を起こしたこと、8苦痛や傷害による苦しみが意図的なものであるという知識、である。5)メンタルヘルスの紹介先メンタルな障害の有無を知るために、ストレスと死別への反応は、その人にたいして強い悲嘆を感じているか、社会的職業的に重要な機能が損なわれていないかを、詳しく評価する必要がある。照会は、以下の症状が一つ以上ある時に行われるべきである。失見当識、うつ症状、重度の不安症状、精神異常、自己ケア不能、自殺念慮企図、その他(問題飲酒、薬物使用、家庭内暴力、児童虐待、高齢者虐待など)。照会は受け入れられなくても、初期に確立した信頼関係がフォロー- 94 -