ブックタイトル平成26年度「学校法人日本赤十字学園教育・研究及び奨学金基金」教育・研究事業報告書

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概要

平成26年度「学校法人日本赤十字学園教育・研究及び奨学金基金」教育・研究事業報告書

きていても自信を持って実践し、実践の場面における経験知に基づいた具体的判断能力ができない可能性が示唆された。看護専門職自律性と運動器看護の特徴から、運動器看護の専門職自律性を把握するために因子分析を行った。5つの因子が抽出されたが、第1因子は[基本的看護実践の自立]と命名したが、これは運動器看護の特徴ではなく、専門職自律性の根幹をなす自立して実践ができることを指名している。第1因子に含まれた質問項目は全て菊地らの看護専門職自律性の質問項目であり、運動器看護特有の質問項目は含まれなかったため、基本的を冠し[基本的看護実践の自立]となった。第2因子は[多職種と家族を含めた療養環境の調整]と命名した。運動器看護では急性期病院から自宅退院せず、リハビリテーション病院への転院や療養型病院への転院や施設への入所が検討されることがある。高齢者が運動機疾患を患い、手術等の治療を行ったあと、ADLのレベルが変化しこれまでと同様の生活を営み続けることが難しくなる。また在院日数の減少に伴い、入院時から退院後の生活を見通し、多職種と家族を巻き込んで患者の退院後の療養環境を設定ならびに調整することが求められる。調整には、多職種の専門性に配慮しながら患者の情報を収集し、家族の意向を把握していく能力が求められ、それができていると自覚できることで運動器看護における専門職的自律性につながっていると考えられる。第3因子は[患者の背景のアセスメントに基づいた安寧に導く実践]としたが、これはアセスメントに基づく実践であれば第1因子と同じような命名となるが、この因子の中には患者の波打つ心理面を理解しそれに共感的に接し、さらに落ち着いて看護を受けられるような看護実践が含まれていたため、「安寧」という言葉を用いて命名を行った。第4因子は[整形外科特有の専門知識と技術]は、整形外科に関わる看護師は特有の手術方法やそれに伴う特異的な合併症の知識、身体を安楽に保つための技術や特殊な装具の扱い方、歩行補助具の使用方法など特有な専門知識と技術が求められるため、このように命名した。第5因子は情動や心理的問題についての項目であったため[患者の心理的問題、情動に対する看護実践]と命名した。以上より、運動器看護専門職自律性の特徴はこの因子分析の結果より[基本的看護実践の自立][多職種と家族を含めた療養環境の調整][患者の背景のアセスメントに基づいた安寧に導く実践][整形外科特有の専門知識と技術][患者の心理的問題、情動に対する看護実践]であると示唆された。(5)謝辞本研究のパイロットスタディならびに本調査に協力下さいました看護師の皆様に深謝いたします。本研究は、平成26年度学校法人日本赤十字学園教育・研究及び奨学金基金からの助成を受けて遂行いたしました。99