ブックタイトル平成26年度「学校法人日本赤十字学園教育・研究及び奨学金基金」教育・研究事業報告書

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概要

平成26年度「学校法人日本赤十字学園教育・研究及び奨学金基金」教育・研究事業報告書

関東近郊にある在宅看取りを実施している訪問看護ステーションで、終末期がん利用者の終末期ケアを担当し、研究への同意が得られた4名の訪問看護師とした。インタビュー時の直近にがんで死亡した利用者2名(対象者)についてのインタビューを実施した。所要時間は、対象者一人につきおおむね30分程度を設定した。インタビューの内容は、研究参加者の同意を得てICレコーダーに録音した。d.インタビューガイド基本情報として、対象者属性、死亡場所、介護している家族の属性を尋ねた。訪問看護サービス提供期間中のすべての訪問時において、患者・家族の希望死亡場所(自宅、病院、その他、未決定、未確認)と患者・家族の予後理解の程度を尋ねた。希望死亡場所の確認をしている場合にはどのように行ったかを尋ねた。予後理解を促す支援について実践の有無を尋ね、実践していた場合には、だれがどのように行ったかを尋ねた。さらに、希望死亡場所を実現するために予後理解を促す支援を実践することに対する認識や、希望死亡場所の確認において重要と思われることや現場における課題について自由に語っていただいた。予後理解の程度は、Support Team Assessment Schedule日本語版(以下, STAS-J)を用いた。STAS-Jとは、英国のHigginson & McCarthy(1993)によって開発されたホスピス・緩和ケアの評価尺度を宮下・笹原・河他(2003)が翻訳したものである。回答選択肢は、予後について十分に認識していた、予後を2倍まで長くまたは短く見積もっていた、回復することまたは長生きすることに自信が持てていなかった、完全に回復すると期待していた、非現実的に思っていた、評価できない、の合計6つである。この予備調査では、1予後理解あり、2予後理解不十分(予後を2倍まで長く、または短く見積もっていた、回復すること、または長生きすることに自信が持てていなかった、完全に回復すると期待していた、非現実的に思っていた)、3評価不能の3段階で評価した。e.データ分析方法インタビューで得られた内容を逐語録に起こし、死亡場所の意思決定支援である予後理解を促す支援と希望死亡場所の確認の2つに着目しながら繰り返し丁寧に読み解釈し、まず訪問看護師が関わった在宅終末期がん患者に対する死亡場所の意思決定支援の構成要素を明らかにした。次に、予後理解を促す支援と希望死亡場所の確認それぞれの関連要因の構成要素を明らかにした。なお、これらの支援に関する関連要因は共通項が多いため、死亡場所の意思決定支援としてまとめて分析することとした。各構成要素は【】内に示した。分析過程では、内容妥当性確保のために、指導者からスーパーバイズを受けながら進めた。f.倫理的配慮112