ブックタイトル平成26年度「学校法人日本赤十字学園教育・研究及び奨学金基金」教育・研究事業報告書

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概要

平成26年度「学校法人日本赤十字学園教育・研究及び奨学金基金」教育・研究事業報告書

ですけど・・・告知がされていない中での訪問という所でご本人は、点滴始めてから良くなるという事を第一に思っていらっしゃったので、どのような声掛けをしたらよいのかというのはとても悩みました。息子さん、ちょっともう少し説得してやっぱりご本人に納得がいかない、ご本人が納得しないと多分点滴とかも毎日しても何やっているんだという事になると思うので、お話してみて下さいという事でまず息子さんから言ってみてその反応を見て先生からお話しするような形には一応持っていってもらったんです(対象者C)。」と語られた。患者の精神的な崩れを不安に思った家族の心配により告知が行われなかったケースに対し、訪問看護師は患者が納得してケアを受けなければ、患者は「良くなる」という希望を持ち続けてしまうことでやり残したことを行えなくなってしまうこと、周囲も声掛けに悩むことを家族に説明したうえで、医師に告知を促す支援を行っていた。【生活上に関する予後の説明】とは、その方らしく最期を迎える(やり残していることを叶え、望んだ場所で過ごす・亡くなるといった最期の希望を表明し実現する)ために、終末期がん患者の病期が進むことによって生じる看取りまでに起こる生活上の支障の見通しについて、患者・家族が理解できるように伝えることと定義した。具体的には、「最後のところがちょっと変化が出たところで、ご家族さんの慌てぶりがちょっと出ていたので、そのあたりは今後こうなりますよとかという起こり得る経過を説明できていれば。行った中で少しずつ、“前よりちょっと落ちていますね”とか、“眠る時間が長くなりましたね”という話はしている。状態が落ちたときに話ができれば、慌てることなく“あ、こういう経過に来ているのだ”というのができたかとは思います。(中略)それで納得されて、最後は呼吸が止まったようですということで電話がありました(対象者A)。」「痛みの段階的に状態が変わっていく話とか最期に着せてあげたいお洋服とか準備される物について話をしています。(中略)看取りの教育というか、やっぱりご家族がかなり変化していく中で、こういった事が起きてきていますよ、起きて来ますよと事前にお話させてもらう事で、“さっき看護婦さんから聞いたようにそういう風になったけど自然な事だな、とみていられました”という事を後からお聞きしました(対象者C)。」と語られた。訪問看護師は眠る時間が長くなっているということで病状の悪化を示したり、痛みの段階的な状態の変化を説明する中で最期の洋服の準備を暗示していた。それにより、症状を持って生活をしていくことを受け入れることができていた。「やはり歩けなくなってきたり、食事が思うように取れなくなってきたりと、生活の中で体の変化が生じてきたときに、急速に自分の体が変わってきていることを実感し、そばにいる家族も実感し、死に近づいていることをそこで急に感じ始めて不安になったり。私115