ブックタイトル平成26年度「学校法人日本赤十字学園教育・研究及び奨学金基金」教育・研究事業報告書

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概要

平成26年度「学校法人日本赤十字学園教育・研究及び奨学金基金」教育・研究事業報告書

と(p<0.001,p=0.003)、入院・死亡直前の患者の不安が少ないこと(p=0.082)、医師の症状コントロール力が優れていること(p=0.019)の8項目であった。n数が少ないためこの予備調査で検定は行っていないが、訪問看護師が予後理解を促す支援をしている患者は、希望死亡場所実現、自宅死亡、患者の不安軽減、症状軽減という結果となっていた。本調査においてデータ数を増やし、さらなる分析が必要である。(4)考察1予備調査(インタビュー調査)考察(a)予後理解を促す支援終末期がん患者は、身体の変化、日常生活動作(activities of daily living;以下ADL)の低下などが起こり、本人および家族もそれを自覚し、不安が生じやすい(川越, 2013)。この不安を解消しないままでいると、自宅での療養生活を継続することができずに自宅死亡を希望していたとしても実現が困難となる可能性がある。本予備調査では、今後起こりうる経過を説明したりや死のプロセスを説明するという【生活上に関する予後の説明】を実施することで、患者や家族の不安の原因となることを予測して対応していた。また、【余命告知の確認】、【未告知の対応】、【余命の理解度の確認】により、患者が残された時間を自覚して有意義に過ごすことで、希望死亡場所の表明、患者の希望の実現につながっていた。本予備調査(インタビュー調査)の結果より、死亡場所の意思決定支援のうちの予後理解を促す支援に関する調査項目は、【余命告知の確認】、【未告知の対応】、【余命の理解度の確認】、【生活上に関する予後の説明】とした。また、終末期がん患者が希望する場所での死亡を実現するためには、訪問看護師が全ての患者に希望死亡場所の確認をする事が望ましいが、予後理解を促す支援は、余命の理解の状況などにより支援する必要がある場合と必要がない場合がある。そこで、本調査において予後理解を促す支援をする必要性がある状況かどうかを調査項目として設けることとした。(b)希望死亡場所の確認がん患者が自宅死亡を望んでも、家族が希望しなかった場合は自宅死亡実現の可能性が低いことが明らかになっている(Ikezaki et al., 2011)。本予備調査では、【希望死亡場所の確認】をし、患者と家族の希望の不一致があった場合に【家族調整】をすることにより、患者と家族の希望が一致し、患者の希望の実現につながっていた。本予備調査(インタビュー調査)の結果より、死亡場所の意思決定支援のうちの希望死亡場所の確認に関する調査項目は、【希望死亡場所の確認】、【家族調整】とした。(c)死亡場所の意思決定支援の関連要因120