ブックタイトル平成26年度「学校法人日本赤十字学園教育・研究及び奨学金基金」教育・研究事業報告書

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概要

平成26年度「学校法人日本赤十字学園教育・研究及び奨学金基金」教育・研究事業報告書

の形態と比べて、自らの頭の中で平面から空間を構成する、より抽象的な理解力を必要とし、初学者には習得が容易ではない。今日の医学、医療は、目覚ましい進歩、高度化が進む一方、これまでにない高齢化社会を背景とした様々な問題を抱えている。このような状況に対応するため、様々な専門領域を含む医学の教育は、医学部のみならず、多岐にわたる医療系職種の教育課程を含む幅広い視野で充実を図っていく必要がある。医学、医療の進歩は、理工学分野の技術革新に支えられている面が大きい。実際の臨床現場では、CT、MRI等の画像診断装置における撮影法および画像処理技術が進歩し、肉眼レベルの構造については、従来平面で捉えられていた画像から器官・臓器の立体像を容易に構築することができるようになった。さらに3Dプリンターの活用と組み合わせて、骨などの組織を補てんする材料の作製や(Saijo, Kanno, Mori et al., 2011)、肺移植などの手術法のシミュレーションにも用いられている(京都大学, 2014)。組織像の解析に関しても著しい研究手法の進歩がみられ、共焦点レーザー顕微鏡や、最近では二光子励起顕微鏡といった最先端技術の導入によって、空間、時間経過を含めた細胞学的、組織学的構築に関する研究が進められつつある。このような研究の進歩、情報・画像処理技術の高度化の成果を、医学教育の中にも積極的に取り入れ、楽しく学び理解の助けとなる教材を作成する努力と工夫が、次世代を担う医療従事者の育成に大きな意味を持つものと考えられる。既に生きた細胞から3Dプリンターで組織を再構築する試みがなされているが(Arai,Iwanaga, Toda et al., 2011)、まだ複雑な組織構築の再現までには程遠いのが現状である。そのため、組織学及び組織病理学やその教育における3Dプリンターの活用は、まだ未開拓の分野である。本研究は、その第一歩としてマウスを使用し、共焦点レーザー顕微鏡を用いた器官組織の立体画像の構築から、視覚的な教材を作製する方法の検討を目的に実施した。特に、組織学教育における3Dプリンターの活用に向けて、複雑な形状を示す組織構造を出力する手法の検討も行った。この研究で得られた方法をさらに発展させ、視覚教材の充実を図ることにより、構造と機能の結び付いた病態生理のより一層深い理解につながるものと考えられる。イメージの湧きにくい器官の組織構築の学習を、初学者が興味を持って取り組むきっかけとなるだけでなく、看護をはじめとする医療系職種の大学院教育や生涯教育といった、さらに高度な内容が求められる教育においても活用できるものと考える。(2)教育・研究事業の方法1.マウス臓器の摘出動物実験にあたっては、「動物の愛護及び管理に関する法律」を遵守し、「愛知医科大学動物実験規定」に基づいて必要な教育訓練を受け、手続きを行った上で実施した。4か月23