ブックタイトル平成26年度「学校法人日本赤十字学園教育・研究及び奨学金基金」教育・研究事業報告書

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概要

平成26年度「学校法人日本赤十字学園教育・研究及び奨学金基金」教育・研究事業報告書

齢のマウス(C57BL/6)に、塩酸メデトミジン(0.3mg/kg)、ミダゾラム(4.0mg/kg)、酒石酸ブトルファノール(5.0mg/kg)の3種混合麻酔薬を腹腔内投与し、十分な麻酔深度を得て苦痛がないことを確認した後、開胸、開腹し、臓器を摘出した。2.組織材料の処理法1)自家蛍光法を用いた観察材料の処理20%緩衝ホルマリン固定の後、サリチル酸メチル溶液による組織の透明化処理を行った。組織標本作成で広く用いられるホルマリン固定材料による透明化法で、形態の保持がよく、病理検査で汎用されているホルマリン固定パラフィン包埋(formalin-fixed paraffinembedded: FFPE)材料にも応用可能である(Faverly, Holland, Burgers, 1992)。固定液には20%緩衝ホルマリンを用い、肺の場合は、摘出後ただちに気管より注入固定を行った。2日間、室温で振盪固定を行った後、約2mm厚に切片を切り出した。実体顕微鏡での組織の観察、確認用にヘマトキシリンで核の染色(Gillのヘマトキシリン液30分、流水洗浄1時間、1%塩酸アルコール8時間)を行った。95%エタノールで8時間脱水、99.5%エタノールで48時間脱水の後、アセトン中で30分振盪、サリチル酸メチル溶液に2時間浸漬した。アセチル酸メチル溶液を入れた真空パック用フィルムに入れ、真空包装装置で脱気密封し保存した。観察時に組織をパックより出し、キシレンに浸漬の後、実体顕微鏡観察下に0.7~0.8mm厚に薄く切り出した。組織をホールスライドグラスへ移し、DPX(MerckMillipore社)で封入し、観察した。2)蛍光抗体法を用いた観察材料の処理組織の抗原性保持がホルマリン固定より良好とされる4%パラホルムアルデヒドで固定の後、蛍光抗体法を実施し、蛍光強度の保持のためbenzyl alcohol / benzyl benzoate(BABB)溶液による透明化処理を行った(Dodt, Leischner, Schierloh et al., 2007;Yokomizo, Yamada-Inagawa, Yzaguirre et al., 2012)。蛍光ラベルした抗体の浸透には限度があるため、本研究では、臓器のサイズが小さいマウスの副腎を材料とし、血管内皮マーカーであるCD31の抗体を用いて血管の立体構築を検討することとした。若年齢よりも高齢のマウスの方が、副腎髄質の血管がより拡張し、抗体が血管腔に沿ってよく浸透することから、8か月齢のマウスを使用した。十分な深度の麻酔下に臓器を摘出し、4%パラホルムアルデヒドで4℃、一晩振盪固定の後、0.1Mリン酸緩衝液で10分ずつ3回洗浄、15%スクロース含有0.1Mリン酸緩衝液中に1晩振盪した。7.5%ゼラチン、15%スクロース含有0.1Mリン酸緩衝液中に移し、37℃1時間静置の後、アルミ箔で作製した小容器の中に先ほどのゼラチン含有リン酸緩衝液を入れ、組織を移して包埋し、ドライアイスで冷却したアセトン中に容器を入れて凍結の後、-85℃で保存した。凍結組織はクライオスタット(Leica社CM3050S)で厚さ250マイクロメートルの切片に切り出し、スライドグラスに貼り付けた。PBSで3回洗浄の後、非特異的抗原24