ブックタイトル平成26年度「学校法人日本赤十字学園教育・研究及び奨学金基金」教育・研究事業報告書

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概要

平成26年度「学校法人日本赤十字学園教育・研究及び奨学金基金」教育・研究事業報告書

部分を除去してxy方向549×772画素平面画像とし、z軸方向に1.2μm間隔62面で立体像を構築した。赤で染色された網目状の血管の立体像を構築した。6.3Dプリンターへの出力3.で得られた腎糸球体血管の立体像を3Dプリンターに出力した。研究方法に記載した画像ファイル処理により、出力エラーなく造形に成功した。この模型の場合、展示のために支持物を工夫する必要があり、100円ショップで購入したクリップばさみを支持台に使用し、左右に10°ほど回転させて2枚の写真を撮影、交差法の立体視像を作製した。模型の強度にも問題がある。そこで、構造材樹脂に透明性があり水溶性サポート材が白色不透明であることを利用し、画像の白黒反転処理によって構造材樹脂とサポート材を入れ替えた模型も作製した。立方体形状の模型で、安定した展示が可能となった。また、この立方体を任意の断面で切断した模型も作製した。模型の質を上げるためには、樹脂の表面を磨いたりコーティングを行うなどの手間が必要であることも明らかとなった。(4)考察1.技術的課題1)標本作製および撮影法の課題もともとの細胞、組織が持つ自家蛍光は、特に固定後の標本で増強することが知られているが、蛍光ラベルによる細胞、組織の構成物質の検出においては非特異的シグナルとなるため、文献的もそれを除去する方法が検討の対象となっている(Baschong, Suetterlin,Laeng, 2001)。今回、レーザー光の強度や励起、検出波長を調整することによって、自家蛍光による組織構造を捉えることができることを示した。自家蛍光による励起、検出の条件は臓器ごとに異なっていたが、自家蛍光を除去する最適な方法が臓器ごとに異なるとの文献的記載に対応するものと考えられた。赤血球は自家蛍光を発することから、文献的にもマウス胎仔の血管のイメージングに用いられた報告があるが(Dodt, Leischner, Schierloh et al., 2007)、今回腎臓の糸球体毛細血管の立体像を自家蛍光によって構築することができた。一方、肝臓の中心静脈、類洞は、作製した試料ではほぼ脱血状態であり、血管腔として立体像を構築した。このように、腎臓と肝臓で原理に違いがあるものの、自家蛍光による撮影法は血管の立体像構築に有用であった。今回の自家蛍光による撮影法で、例えば透明化処理をした肺であれば、対物レンズ10倍の弱拡大像で最大400μmほどの深度の画像を得ることが可能であった。ただし、弱拡大像で鮮明な画像を得るためには、画素数を上げた精細条件での撮影が必要であり、数百枚に及ぶ多数の精細平面画像から立体像を構築するためには、十分な画像処理能力を有するグラフィック対応の高性能なコンピュータないしワークステーションが必要であることがわ28