ブックタイトル平成26年度「学校法人日本赤十字学園教育・研究及び奨学金基金」教育・研究事業報告書

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概要

平成26年度「学校法人日本赤十字学園教育・研究及び奨学金基金」教育・研究事業報告書

学によって、それぞれ得意とする分野の支援を独自に計画・実施された。平成23年12月には陸前高田市の復興計画が策定され、本格的に復興に向かって動き出した。平成24年以降は災害サイクルの慢性期に入り、復興支援が重要な時期となり、医療ニーズとしては、被災者のこころのケアの継続とともに、慢性期疾患の対策、感染症対策、自立支援医療が求められてきた(小原他、2010)。震災から3年近くが経ち、被災者自身が自発的にそれらの課題について考え、対応していけるような自立支援が必要となっている(佐々木,2012)。災害復興は災害前とまったく同じ施設・機能に戻すことではなく、その定義は地域が災害に見舞われる前以上の活力を備えるように、暮らしと環境を再建すること(林,2003)であり、我々は現地の自立支援の一環として、在宅介護をエントリーポイントとして継続的に、活動を行っている。背景として、東北の被災地では、震災復興期より、公衆衛生の視点からポピュレーションアプローチによる健康増進・介護予防への取り組みが展開され、発災当初から懸念されていた被災者の心のケアについては、社会福祉協議会を中心に「お茶っこサロン」などが定着し、現在も継続されている。しかしながら、陸前高田市保健医療福祉未来図会議(旧:包括ケア会議)の報告書によると、お茶っこサロンなどの活動は、仮設住宅住民のために行われているものという風潮があり、仮設住民と非仮設住民(自宅避難者・個人宅避難者)の間に隔たりができ、実際、非仮設住民の参加の難しさがあった。平成23年4~5月に行われた調査の結果(東日本大震災にかかる陸前高田市「健康・生活調査」結果報告書)では、陸前高田市における在宅ケアが必要な要介護・要支援者の所在地は自宅である場合が多く、これらの非仮設住民は、被災前後とも、要介護・要支援者を抱え生活を送られていることが伺えた。さらには震災の影響による、軽介護者を含むデイケアやショートステイの利用者、ならびに要支援・要介護認定者が増加傾向にあり,福祉サービスの需要が増加している。それに対し,同市や地域の医療・社会福祉法人はサービスの拡大を急いでいる。しかし、医療・福祉を支える人材の不足により、供給の拡大が限定的であるために、デイサービスやショートステイ等のサービスを受けられない方も多くいる。同市が位置する岩手県沿岸地域の多くの介護施設では、職員自身が被災し、住まいが変わり、通勤が困難となり退職せざるを得ず、人材確保に苦慮しているのが現状である(岩手日報,2012)。また同地域は、震災前から人口流出に歯止めが掛からず、少子高齢化が進んでいる地域でもあり、高齢化率は平成18年度から30%を超え、平成25年度は33.87%と報告されている(陸前高田市)。要介護・要支援高齢者が増加する中、在宅での介護を支える仕組みづくりは急務であった。そこで、平成24年度には、同市における在宅介護家族支援事業として、1介護家族が集える場づくり、2介護家族同士のつながりづくり、3介護家族に介護のチエ・コツを教授することを目的として、「介護家族のつどい」を開催した。これは、震災2