ブックタイトル平成26年度「学校法人日本赤十字学園教育・研究及び奨学金基金」教育・研究事業報告書

ページ
5/128

このページは 平成26年度「学校法人日本赤十字学園教育・研究及び奨学金基金」教育・研究事業報告書 の電子ブックに掲載されている5ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

平成26年度「学校法人日本赤十字学園教育・研究及び奨学金基金」教育・研究事業報告書

前から必要性があった“介護家族の会”の基礎となることを目指していたが、介護家族という、いわゆるハイリスク集団だけへのアプローチでは、根本的な介護家族支援につながらないという課題が残った。地域の介護要員が不足しているだけでなく、介護福祉施設での人材も不足している状況が改善されない状況の中、平成25年度には、ハイリスク集団から、ポピュレーションに幅を広げ、地域全体で介護家族をサポートしていく仕組みづくりに取り組んだ。これは、陸前高田市包括支援センターの年間目標として挙げられた、1地域ケア会議の充実(ケアマネの質向上、地域問題の解決)2認知症啓蒙普及3高齢者権利擁護4高齢者が高齢者を支える地域づくり、の4の一環で「介護サポートボランティア養成事業」として同市と協同する形で開始した。1年間を通し、高齢者の理解、認知症の理解、コミュニケーション、基本的な介護技術、自身の健康をまもる技術など、合計8時間の講座を行った。参加者からは「専門的なことは、すぐには難しいけれど、簡単なお話相手にはなれる」など前向きな意見も聞かれた。今後、市で支援が必要な住民とのマッチングを行い、在宅でのお話相手(傾聴)や、簡単な見守りサポート、介護施設などでのボランティア活動に発展していくことが期待されている。阪神・淡路大震災のおり、復興理念は1)被災地域の再建、2)被災地域を中心とした経済再建、3)被災者の生活の再建とされ、この3つの要素のうち、どれか1つでも達成できなければ、復興は完成しない(林,2003)と言われている。看護の視点では、3)の「被災者の生活の再建」が深く関わりをもつ要素であり、林(2003)は、神戸市における調査の結果、生活再建の要素として、1住まい、2人とのつながり、3まち、4備え、5こころとからだ、6くらしむき、7行政とのかかわり、としている。この中でも特に看護分野として関わることができる「2人とのつながり」「5こころとからだ」「6くらしむき」を地域での介護支援の実現へ向け、「7行政とのかかわり」を持ちながら実現させていく必要があると考える。超高齢化社会への対応は、日本全国・全世界の課題でもある。災害の復興、超高齢化社会への対応という二重の負担を抱える同市において、将来的には、本介護サポートボランティア養成・派遣事業が、市の事業としてシステム化されること、地域住民が、自助・共助により自主的に地域の課題に取り組んでいけるソーシャル・キャピタルの創生に寄与できると考えている。そこで、平成26年度も引き続き、大学の教育的機能を活かし、地域住民が地域住民を介護の面から支えていける支援およびシステムづくりのサポートをおこなうべく、アクションリサーチの手法で市と地域住民とともに、介護サポートボランティア養成・活用事業を継続していく計画を立てた。陸前高田市と地域住民とのアクションリサーチの手法を用いて、ボランティア養3