ブックタイトル平成26年度「学校法人日本赤十字学園教育・研究及び奨学金基金」教育・研究事業報告書

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概要

平成26年度「学校法人日本赤十字学園教育・研究及び奨学金基金」教育・研究事業報告書

ロモーションを向上させるための保健活動を保険者と連携し、実践する必要があると考える。(2)未破裂脳動脈瘤「有」の人のリスクスコアと今後の課題秋山ら16)は、未破裂脳動脈瘤を合併する患者の因子として、女性、高血圧、喫煙歴を示しており、脳卒中データバンクに登録されたくも膜下出血のうち、21.3%に未破裂脳動脈瘤の合併が認められたと報告している。さらに、女性の未破裂脳動脈瘤合併総体危険度は男性に対し1.6、高齢者(65歳以上)が未破裂脳動脈瘤を合併する相対危険度は非高齢者(65歳未満)に対し0.99、高血圧群の未破裂脳動脈瘤合併の相対危険度は非高血圧群に対し1.23、喫煙および飲酒の相対危険度はそれぞれ1.21、0.87であったと報告している。本研究の結果、未破裂脳動脈瘤は41人(2.9%)に認められ、男性が16人(2.0%)、女性が25人(4.0%)であり、リスクスコア(平均値±標準偏差)をみると、男性の未破裂脳動脈瘤「有」が24.1±10.3、「無」が22.7±8.4、女性の未破裂脳動脈瘤「有」29.0±8.3、「無」が22.0±8.9であり、女性の未破裂動脈瘤「有」のリスクスコアが高かった。更に、男女共に血圧値は高く、糖尿病「有(糖尿病型)」の人が多く、ブリンクマン指数「401以上」の男性が11人(68.9%)、女性が17人(68.0%)と高い割17,18)合であり、未破裂脳動脈瘤「有」のリスク因子の内容、および未破裂動脈瘤の性差は先行研究と一致している。これらの結果は、脳ドック受診者の情報の蓄積によって明らかにされたことであり、その地域における生活習慣の評価指標にもなりうるため、今後は積極的に結果を公表し、住民に対するポピュレーションアプローチを推進する根拠となりうる可能性がある。そして未破裂脳動脈瘤は頭部MRAによって発見され、その程度によって今後の管理が選択される。この問題は未破裂脳動脈瘤が破裂するか否かという問題もあり、受診者は血縁者に脳卒中の既往者の存在、高血圧、糖尿病等の危険因子の有無を考慮し、未破裂脳動脈瘤の存在を知ってしまった患者に対して、支援を継続的に行わなければならなく、二次予防に関する医療者側の課題も存在しているのではないかと考える。(3)脳ドックを二次予防から一次予防活動推進のための手段とするためにリスクスコア(平均±標準偏差)をみると、22.5±8.7(男性22.7±8.5、女性22.3±9.0)であり、リスクスコア35点以上(10年間で脳卒中を発症する確率が10%以上)の人は133人(9.3%)で、うち男性が77人(9.6%)、女性が56人(8.9%)であった。脳ドックの医療経済効果について、飯沼ら9,10)は、脳ドックはがん健診よりも費用が高額であり、その要因として、脳動脈瘤の発生率が低い、検査コストが高額である、破裂しない脳動脈瘤を手術するリスクがあり、未破裂脳動脈瘤検診を公衆衛生上の施策として採用するには困難であると述べている。脳ドックの受診経路(実施主体)をみると、「共済68