ブックタイトル平成26年度「学校法人日本赤十字学園教育・研究及び奨学金基金」教育・研究事業報告書

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概要

平成26年度「学校法人日本赤十字学園教育・研究及び奨学金基金」教育・研究事業報告書

教育・研究事業報告書1.教育・研究事業テーマ中立制度と赤十字2.教育・研究事業組織教育・研究事業代表者:日本赤十字豊田看護大学教授河合利修3.要旨平成24年度の研究をふまえ、1中立制度の歴史的経緯、2スイスの中立が赤十字に与えた影響、3中立の総合的な叙述が本研究の課題となった。そして1については、第一次および第二次世界大戦で中立国が占領されるなど、中立制度が動揺し、また、ドイツのユダヤ人迫害への中立国の沈黙は批判の対象となり、中立制度の意義が問われることとなった。しかし、ウィーン会議後百年間、ヨーロッパにおいて中立制度は「小国の生存」のための制度にとどまらず、中立制度は多数の国を巻き込んだ戦争を防ぐ制度であったことが明らかになった。2については、19世紀から中立国であるスイスやベルギーが難民や亡命者を受け入れ、あるいは人道的あるいは国際機関が本部をおくなど、中立と人道が密接に結び付いた。赤十字のこのような背景のもと成立・発展したことを認識する必要がある3については、今回の研究の成果をふまえ、「人道研究ジャーナル」などの関連雑誌に投稿する予定である。4.キーワード中立、赤十字、スイス、永世中立、人道支援5.教育・研究事業報告(1)教育・研究事業の背景・目的平成24年度の日本赤十字学園研究基金により、「中立の本質:中立国の比較研究をとおして」のテーマの下、研究を行った。その結果、生じた課題は以下のとおりである。1国家の中立について、時間の制約から第二次世界大戦中の記述が主になってしまった。しかし、特にウィーン会議前後から第一次世界大戦まで中立制度は大きく発達した。対して、戦後は国連安全保障理事会決議に基づく各種の措置がとられるにともない中立制度は機能が低下した(小森光夫、2004)。これらの点について焦点を当てる必要がある。2とくに第一次世界大戦中から、戦時において中立国が人道的活動を行うようになった。この点については、赤十字との関連(赤十字が影響を及ぼしたかどうか)および中立71