ブックタイトル平成26年度「学校法人日本赤十字学園教育・研究及び奨学金基金」教育・研究事業報告書
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平成26年度「学校法人日本赤十字学園教育・研究及び奨学金基金」教育・研究事業報告書
略奪である。旧ユーゴスラビアやソマリア等で見られたように、人道的介入が行われた地域では、国連平和維持軍や人道機関の要員が攻撃の対象となっただけでなく、支援物資も略奪の対象となった。また戦闘に関わらない文民も攻撃の対象となり、支援者と受益者双方のアクセスが阻害された。こうした紛争の形態の変化と複合的人道危機に直面し、国連は、軍事、政治、法の支配、開発、人道等、民軍双方が戦略的目標を共有し、限られた資源の中で、最大限、紛争国に寄与できるよう組織、戦略の両面から「統合化」を推進してきた。1)組織的統合現場レベルにおける組織的統合については、1997年に公表された『国連の再生―改革への計画』において、国連事務総長特別代表(SRSG)に、これまで統括してきた政治部門だけでなく、軍、文民警察、常駐調整官(RC)、人道調整官(HC)を統括する権限も付与することによって、人道・開発支援活動と平和活動の統合を推進すべきであると提案された67。また、2000年に公表された『SRSG、RC、HCの関係に関する指針の覚書』では、多くの任務が付託されている複合型ミッションを展開する場合、SRSGの指揮のもと、次席国連事務総長特別代表(DSRSG)を2名任命し、そのうち1名がRCとHCを兼務(トリプルハットアプローチ)し、国連の人道・開発支援分野の調整も統括すべきであると提案された68。これにより、ミッション現地事務所と国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)や世界食糧計画(WFP)等の国連人道・開発支援機関から構成される国連カントリーチーム(UNCT)との緊密な連携が可能となった。また、国連アフガニスタン支援ミッション(UNAMA)のように、現地国連ミッションの事務所に国連人道問題調整事務所(OCHA)の現地事務所を統合する動きも見られるようになった。一方、国連本部レベルでの統合化への取り組みとして、2000年に発表された『国連平和活動検討パネル報告』(ブラヒミ・レポート)では、国連による一貫性のある関与を保証するために「統一ミッション・タスクフォース」(IMTF)の設立が提案された69。IMTFは、本部レベルでの国連各機関間の調整機能を有し、紛争国の現地アセスメントに基づき、ミッションの計画を策定するとともに、現地ミッションの支援を行っている。実際、IMTFはUNAMAで採用され、それ以降の国連平和活動でも採用されている。67UN, A/51/95068UN, Note of Guidance on Relations between Representatives of the SecretaryGeneral, Resident Coordinators and Humanitarian Coordinators, 200069UN, A/55/30584