ブックタイトル平成26年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

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概要

平成26年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

資料4:第25回日本看護学教育学会ポスター発表タイトル:看護系教育機関における防災対策上の課題に関する研究―教育再開にむけての教員の体験―<目的>東日本大震災発生以降、看護系教育機関に勤務する看護系教員が教育再開までの間、どのような活動をし、その過程でどのような思いや感情を抱いたのか、その体験を明らかにする。<方法>東日本大震災による被害を受けた看護系教育機関に勤務する看護系教員(以下、教員)8名に対し、60~90分程度の半構成的面接を1回行い、参加者の承諾を得て録音し逐語録を作成した。逐語録は、教育再開にむけての教員の活動とその過程で教員が抱いた思いや感情に着目して内容を再構成し、テーマを描き出した。なお、教育再開とは、授業(講義・演習・実習)および学事全般の再開を示す。<倫理的配慮>参加の自由意思、面接後の支援体制等を口頭と文書で説明し同意を得た。日本赤十字看護大学研究倫理審査委員会の承認を得た。<結果>教員の体験は、時間軸に沿って次のように描くことができたが、明確な境をもって次の体験には進まず、行き来したり、並行して時は進み、体験の深さも多様であった。教員の体験には、【学生や同僚の安否確認・被災状況の確認を必死に行う】【学生に対するこころのケアを模索し、気持ちを吐露できる場を造ろうと努める】【学校再建についてピンと来ない気持ちを抱えつつ目の前の課題に取り組む】【実習先と学生の状況を共有できない感覚から学生の体験を代弁する】【支援者に対する安心感を持つ一方で、困惑や怒りを抱く】【カリキュラムの組み直しやボランティアの単位読み替えに対する大変さを感じる】【カリキュラムと実習受け入れ先の確定で教育再開を実感する】【学校で学生の声を聞き自分達のいるべき場所が確定し、教育が再開したと実感する】【“授業という日常”に戻れない感覚を抱く】【授業で災害に関した話題に触れる際の学生に対する配慮の必要性を実感する】【学生が国家試験や授業に向かうことのできるような支援を行う】というテーマがあった。<考察>教員は教育再開にむけた活動に対して、教育が再開できる実感をもてない感覚を抱きながらも必死に取り組んでいたが、実習やカリキュラムが組めたことではじめて教育が再開できると実感し、学校に学生が来たことで教育が再開したことを心から感じていた。しかし、教育が再開しても発災前は当たり前であった授業に向かうことができない気持ちを持ちながらも、なんとか学生が学業に向かうことができるような支援をしていた。100