ブックタイトル平成26年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

ページ
13/146

このページは 平成26年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書 の電子ブックに掲載されている13ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

平成26年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

して主体的なものとは言えなかった。それに対して、本研究で行った企画の防災キャンプ参加者は、他の学生に影響を与えるほどの熱意をもって災害救護訓練に臨んでいた。その理由としては、以下のようなことが考えられる。科目内でさまざまな技術等に触れたり、訓練として行う場合は、やり方が先に示されて、その通りできるかどうかが問題となる。困難の度合いとしては、非常に小さい。しかし、防災キャンプでは、火をおこすなどの提示された課題がこなせないと、温かい食べ物が食べられないなど、困難に直面せざるを得なかった。防災キャンプに参加した学生はできないとどのように困るのかが実体験でわかっているため、学びに対して貪欲になっていたのではないだろうか。(2)キャンプ経験と防災教育キャンプの経験の教育効果についての検証をした研究には、以下のようなものがある。国立青少年教育振興機構によると、自然体験を多く行っている青少年ほど、他者への思いやりや積極性などの自立的行動習慣が身についており、自己肯定感も高い傾向にあると報告されている(国立青少年教育振興機構2012)。また、青木らの「キャンプ体験が大学生の社会人基礎力の育成に及ぼす効果に関する研究」によると、キャンプ体験は,前に踏み出す力(アクション)の「主体性」と「実行力」,考え抜く力(シンキング)の「計画力」と「創造力」,チームで働く力(チームワーク)の「発信力」と「傾聴力」,「情況把握力」など社会人基礎力を構成する一部の能力に教育効果があると報告されている(青木ら2012)。今回の企画では、青木らが示している教育効果に加えて、キャンプの経験を防災に役立てる試みの有効性についても確認できた。災害時という非日常的な事象については、大学生でもイメージすることは難しい。イメージしにくい災害や防災について、実行性のある行動につなげていくためには、恐怖心に訴えた従来の“備えの防災教育”ではない、“防災+αの防災教育”が提唱されている(諏訪2013)。防災キャンプで、焚火に着火する、テントを建てる、暗闇で過ごす、寝袋で寝るなどを楽しみながら覚えた経験は、こどもサマーキャンプや冬期防災キャンプでの学生たちの動きを見ると、他人に伝達する力、物品の利用方法を応用する力としてしっかりと根付いていることが分かった。また、学生自身の自信にもつながっていることがうかがわれたことから、キャンプの経験があることは災害時に心の余裕を生み、避難時のストレスを軽減できるのではないかと思われる。このように、防災キャンプは、いつもとは違う「不自由さ」を楽しみながら体験することよって「実践力の獲得」につなげられる防災教育プログラムであることが分かった。5)謝辞本研究を進めるにあたり、全面的にご協力を下さいました日本赤十字秋田県支部、地域11