ブックタイトル平成26年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

概要

平成26年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

行った（英国では看護・助産協会とマンチェスターを拠点とするサルフォード大学看護学部、アメリカ合衆国ではシンシナティ大学、オーストラリアでは看護・助産協会とシドニー大学のスクール・オブ・ナーシング）。これと併せて、担当教員および担当者との面接を実施した。看護大学（学部）では、在学生らの授業を参観し面談も行った。（３）研究結果3-1英国の場合英国における看護職養成教育は、すべて大学教育の一環として提供されている。これに重要な役割を果たしているのは、2002年に生まれた看護助産委員会(Nursing andMidwifery Committee:以下、NMC)である。NMCは英国における看護と助産のあるべき水準を定め、それを改善維持することで、利用者（the public)の保護をすることを目的とする団体と規定している（http://www.nmc-uk.org/)。NMCは看護師養成教育の指針となる「予備登録看護教育のための基準」(Standard forpre-registration nursing education NMC)を定めている。看護師養成課程を設置している大学教育機関は、NMCが設定したこの基準を満たしているかどうかの認証を受けなければならない。そして認証されると、認定教育機関（Approved Educational Institution：AEI）と認められる（NMCは認定教育機関を総称して複数形を示すsを付し、AEIsとしている）。AEIは2014年度時点で全英に79あり、それらは合計で1000の課程（registered nurse、小児科専門看護師、精神看護師）を提供している。英国の看護師養成教育課程は、全国共通の基礎科目プログラム（CFP)と、各大学個別の科目で構成されている。それらはすべてNMCの指針に準拠している（参考1 NMCの指針）。3-1-A看護教育における「文化ケア」科目の事例事例として取り上げるのはサルフォード大学(Salford University)の保健医療社会ケア学群(College of Health and Social Care)に属する看護師養成課程である。この課程は「看護・助産、社会福祉および社会科学部」（英国での正式名は英語で、School of Nursing,Midwifery, Social Work and Social Sciences）で提供されている。このような学部構成になっているのは、看護・助産が、その本質において「疾病治療」「保健衛生」にとどまらない現象を対象とする分野であるからだろう。20