ブックタイトル平成26年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

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概要

平成26年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

Culturally and Linguistically Appropriate services in Health Care: National CLASStandards)を公表した。これは、民族的・文化的に多様化が進むアメリカ合衆国で保健医療を提供している機関に提供するサービスの枠組みを提示した。そして、この基準は2010年に見直しがなされた。以下ではアメリカ合衆国の保健医療諸団体による文化ケアに関わる立場や声明の一端と事例としての大学カリキュラムを提示する。3-2-A保健医療団体の立場アメリカ合衆国看護協会(American Nurses Association: ANA)は1986年に看護師養成教育における文化的多様性に関わる声明を公表した。そして1991年には、臨床での応用定義を行っている。さらに、1998年、差別と人種差別主義に関わる声明を出し、看護師のための文化多様性と言語に関わる訓練および教育を提供する重要性を強調した。さらに、採用する看護師の文化的背景の多様化、管理職への登用推進も進言している。そして、ANAの下部組織であるアメリカ合衆国看護師認定センター(American NursesCredentialing Center: ANCC)は、認定看護師制度において通文化看護(TransculturalNursing)に2つの分類(Advanced[上級認定]とBasic[認定])を認めている。アメリカ合衆国看護学士院(American Academy of Nursing: AAN)は看護界や保健医療の分野で顕著な活躍や貢献を行った人びとの専門職団体である。AANは、2001年に、「文化的な能力と保健医療の公平性」に関わる検討会を立ち上げた。これは多様化するアメリカ合衆国市民に適切な保健医療サービス提供を実践するための資料を統括することを目的としていた。2008年になると、学部看護学生のための文化能力開発教本(Tool kit of resources forcultural competent education for baccalaureate nurses)を発表した。これは29頁からなる教本であるが、教育関係者が文化能力を看護カリキュラムに取り込むための手立てや情報を提供している。さらに、2010年には、通文化看護学会と共同して、看護実践における文化能力の基準を開発した。これは、臨床、研究、教育そして看護行政において看護師が利用できる(文化能力に関する)基準を構築することを目的としていた。アメリカ合衆国看護師養成大学連盟(American Association of Colleges of Nursing:AACN)は、多様性と機会均等は、教育体制の核となる価値であるととらえている。そして、アメリカ合衆国の人口動態的特徴から、多様性と内包化(inclusion)は専門職団体および学術機関にとって中心的課題であると認めている。2004年AACNは、大学での看護師養成教育課程は専門職に就くための最低限の要件であることを公表した。そして2008年「専門看護師実践のための大学教育要領」(TheEssentials of Baccalaureate Education for Professional Nursing Practice)において、患者中心のケア、複数の保健医療専門職によるチーム、証拠に基づく実践、患者の安23