ブックタイトル平成26年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

ページ
35/146

このページは 平成26年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書 の電子ブックに掲載されている35ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play
  • Available on the Windows Store

概要

平成26年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

(2)災害時教育の取り組みと現状近年多発する自然災害に対し、赤十字における介護福祉士養成の特色として全国に先駆け「災害福祉論」を立ち上げた。要援護者が災害時にあってもそれまでの生活を維持できるよう支援するための知識・技術を身に付け、実践できる人材養成を目指している。さまざまな調査からも介護福祉士養成において在学時の災害への意識教育や現状把握し判断する力の育成、災害時生活支援技術の習得が求められている。災害時は特異な状況の中で生活を維持しその後の生活へつなげていくことが必要となり、介護専門職としての視点を災害時の支援に活かすことが求められる。生活を総合的に支援する介護福祉士養成において、災害時生活支援教育の体系化が望まれている。(3)災害時における介護福祉士の役割阪神淡路大震災以降、災害に対する取り組みについては各自治体や医療機関を中心に進められ、内閣府より「避難支援ガイドライン」や厚生労働省より「災害時要援護者対策」等が出されている。さらに専門的な視点から、介護福祉士会による「災害時における介護福祉支援ボランティアマニュアル」として介護福祉士がボランティアとして活動する際の行動マニュアルが定着化している。しかし、東日本大震災は未曾有の被害であり、現在も多くの被災者が避難生活を余儀なくされている。特に要介護者への支援は医療の災害時対応システムに比べ遅れをとっており、介護職のバーンアウトや体調不良が起こる中、介護に携わる人々の奮闘により支えられた。そのような中で日本赤十字社が介護チームを初めて派遣する運びとなった。介護チームの実践は現場に安心感と信頼感をもたらしたと推察される。日頃の専門的知識・技術はもちろん活動報告においては赤十字独自の支援内容も盛り込まれている。赤十字人としての使命を持ち実際に活躍された方々の実践内容、活動記録は今後介護福祉士を目指す人材にとって誇りと自信につながることはいうまでもなく、赤十字における災害時生活支援教育の手本とすべき内容である。(4)災害時教育における今後の展望今後介護ニーズが多様化し、質の高いサービスを提供する専門職の必要性が高まる中、知識・技術の高度化を踏まえ、介護福祉士が生活支援の専門職として牽引する役割が期待される。赤十字介護福祉士教育の中核として、優れた人材を養成し、災害時においても活躍できる専門職への教育を確立していくために、赤十字としての使命を担い、社会事業として長い歴史を持った高齢者、障害児・者の支援を行ってきた各施設と意見交換、介護チーム参加職員へのインタビューを通し、赤十字の介護福祉士教育の充実を図ることを目的とし、本研究を行った。33