ブックタイトル平成26年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

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概要

平成26年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

雰囲気を作ること、できると思っていてもでしゃばらず謙虚に対応し続けることが信頼関係と円滑なコミュニケーションにつながっていく様子がうかがえた。また、利用者に対しては、東北地方の方言に苦慮されている方も多くいたが、じっくり話に耳を傾け、対応することによって少しずつ理解を深めていた。職員・被災者に対するこころのケアでは、特に職員に対するこころのケアが重要な課題であった。施設職員よりケアの最中や休憩中などに被災状況や家族の安否、生死、などについて何げなく、あるいは大変重い内容であるにも関わらず、明るい口調で語られる場面があり、どのように対応したらよいか大変困惑していた。施設での生活支援といった場合には、利用者に対する心身のケアだけではなく、職員に対するこころのケアの必要性が浮き彫りとなった。併せて、派遣職員はがれきの山、倒壊した建物、亡くなられた方がいた場所を示す旗など、被災地の現状を目の当たりにし、さらに職員や利用者の声のかけ方に対する悔いや、自分は帰ればあたたかい食事、寝床があるという罪悪感、本当に役に立ったのか、もっとできたのではないかという自責の念など、さまざまな思いを抱えていた。被災地支援をした職員に対する心理的フォローも重要課題といえる。派遣された職員の方からは、心のケアについてもう少し知識を深めていくべきであったとの声が多くあった。管理者からも派遣時の配慮として、心身の変調やPTSDを発生させないようなセルフケア、派遣前のブリーフィング、派遣終了後のデブリーフィング、現場でのデフュージングの重要性が挙げられた。実際に、派遣後戻ってから体調不良を感じた方もおり、重要な課題といえる。関連して、管理者が職員の派遣要件として考慮している点で、体力や気力、健康状態が挙げられ、派遣職員自身が非常に神経を使ったのが自己の健康管理であった。余震が続き安眠できない、毎日の支援の緊張、衛生状況などさまざまな出来事が体調不良の要因となる。自己の健康管理ができることも災害支援時に求められ、ストレス要因やセルフケア方法についても十分学習しておく必要がある。また、被災地支援では、その活動に人員がとられることから、送り出した施設にも少なからず影響があることが考えられる。活動したいという思いはあっても、実際に活動現場に出向けない場合や必ずしも被災地での活動について選択しないことも肯定されるべきである。各々が災害時に自分に与えられた環境の中でその役割をしっかり果たすということも、災害時支援であるということについて改めて確認しておく必要があると考える。2.避難所支援災害時支援においては、自施設、他施設以外に在宅・避難所への支援も考える必要性が示唆された。訪問系サービス事業所の被災、職員の被災、またはサービスを受けずに生活され40