ブックタイトル平成26年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

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概要

平成26年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

ている方などさまざまであるが、自宅に残られている方への支援の必要性が挙げられていた。また、避難所支援においては、生活支援講習によるホットタオルを利用したリラクゼーションなどの支援経験からニーズの発見と支援の必要性が求められていた。本学での災害救護訓練では、避難所における生活支援の学びと、模擬被災者の経験を通して、被災者の身体的状況、心理的状況について学ぶことを目的とし、指定避難所を想定した学習を展開している。模擬被災者は認知症高齢者、妊婦、乳幼児等多岐にわたっており、避難されてきた方にどのように対応するか実施と振り返りを行っている。実際に、避難所において在宅からの避難者の受け入れを一手に任され、アセスメントと支援内容の決定を任されたという経験をうかがうことができた。高齢者が多い地域などにおいては、介護福祉士の専門性が必要とされる。また、避難所にはさまざまな背景、年齢層の方々が避難してくる。介護福祉士養成カリキュラム上においても、高齢者の方々を中心とした内容となっており、児童への対応、女性のための防犯支援、プライバシーの保護、発達障害の方への対応など、高齢者以外における支援方法についても把握しておく必要がある。【災害発生時、他施設利用者、地域住民など要援護者の受け入れの経験と支援内容・課題】災害による他施設利用者の受け入れについては、受け入れ側の体制、特に心の準備ができていないことに加え、情報不足、利用者の状態把握の困難さがあることから、混乱と対応不足を懸念していた。災害時は、独居老人の受け入れなど状況のわからない被災者に対し支援をするという状況が考えられるが、その際の本人情報不足が常に課題となっている。ケアマネジャーとの連携や災害に備えた情報伝達方法の工夫が求められる。インタビューより、実際に自施設の利用者情報について、ファイルを倉庫に管理・保存し、万が一避難が必要になった際に、利用者とともにファイルを引き継げるよう工夫している施設もあった。利用者情報は変化するため、定期的に情報を追加、変更していた。自施設の利用者が他の施設に搬送されることを想定した準備を各施設がしておくことも情報不足に対応する取り組みといえる。また、被災者本人についても環境の変化、不安等から食事摂取が困難な状況や、認知症症状の進行などが挙げられていた。災害から時間が経過し、少し落ち着いてきた状況が見受けられても、災害時のことを思いだし、恐怖を口にされる方もおり、被災者の心に寄り添うことが重要であり、利用者の心身の変化を十分理解した上での対応が必要である。災害発生時、他施設利用者、地域住民など要援護者の受け入れの経験については、あると答えた方は52名であり、管理者への調査から得られた状況において施設の受け入れ経験が3件ということから、必ずしも多くの施設、職員が経験している状41