ブックタイトル平成26年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

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概要

平成26年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

4.キーワード透析療法、患者・家族の体験、支援の構築5.研究報告平成25年度に、血液透析あるいは腹膜透析開始後1年半~2年の維持期にある患者の体験及び透析療法を受ける患者・家族の体験に関する研究を行った。当事者の経験に関する研究を土台に、平成26年度は、よりよい看護支援モデルを構築するために看護実践家との協働でアクション・リサーチに着手した。アクション・リサーチの第一段階として、援助課題の明確化を目標に、看護実践家とフォーカス・グループ・インタビューを行った。以下に平成26年度の研究活動を報告する。この研究は、日本赤十字看護大学の倫理審査委員会、および研究対象病院の倫理審査委員会の承認を経て実施した(2013-9)。1)研究の背景と動機高齢化社会が到来し、慢性疾患をもつ人が増加する中で、慢性疾患をもつ人と家族に対する質の高い支援が求められている。特に腎疾患を持つ人は年々増加傾向にあり、腹膜透析や血液透析など透析療法を導入する人が増えている。透析療法が導入されると、患者や家族は、透析療法を軸に生活を組み立てなければならず、またどのように食事を管理するかなど生活上の多くの課題を抱えることになる。腎疾患の治療時期から、透析療法の導入、そして通院や在宅療法へと、病態の変化に伴い、患者や家族は治療法選択や生活上の変化に、自ら対応していくことになる。さらに最近では、高齢者の増加や透析療法の長期化、また腹膜透析の治療法の進展等により、治療法にも広がりが出て在宅ケアの可能性も拡大しつつある。今日では、腎不全も慢性疾患として、患者や家族のセルフケア能力を高めるための支援の必要性がさらに高まっている。従って今後は、安全性を重視した透析療法実施時の援助のみならず、患者や家族のQOLを重視し、セルフケアを基盤においた生活援助の方法をさらに検討していく必要がある。また、高齢者が増加していることもあり、腎不全看護領域においても、緩和ケア(この場合は単にターミナルケアではなく、治療の初期からの苦痛緩和という広義の緩和ケア)の援助方法、例えば症状緩和だけでなく、どのように生きていくかという実存的問題や死の問題も含めた援助方法をさらに開発していく必要があると考える。そのためには患者個々の価値観や生き方等、個別性を尊重した援助方法をさらに検討していかなければならない。しかし、患者や家族は外来通院が長くなるにつれ自立度を増していき、医療者からの支援も安全を重視した身体管理や標準化された生活指導的側面に偏りがちで、必ずしも個々の患者や家族の状況に即した個別的かつ支援的関わりに関する探求が、実践や研究においてなされているとは言い難い。今後、患者、家族のQOLを重視した個別的なケアを実践するためには、まず患者、家族46