ブックタイトル平成26年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

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概要

平成26年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

護婦の活動については彼女らが記した体験記から知るしかない。そうしたなか、本研究班では、日本赤十字社が保管する同大戦中の救護班955班による業務報告書を原資料として、平成21年度から地域ごとに派遣された複数の救護班の活動実態を分析、その成果を関連学会で発表(鷹野, 2011,川原,2012)し、報告してきた(平成22年、平成23年「赤十字の看護・介護に関する研究助成」報告書)。これまでの研究活動を通じて、国内では原爆、病院船の救護、海外では満州、フィリピン、ビルマなどの各地域における活動実態が明らかになったが、一方で、第二次世界大戦に関する資料は業務報告書を含め、膨大であり、その全容を捉えるにはいたっていない。また当事者であった元救護看護婦の数も年々減っており、聞き取りをつづける必要性は高い。さらに活動の実態が明らかになるにつれ、明らかになった実態を、当時の歴史的文脈や日赤の立場からのみ解釈するのでは不十分であり、その事実を陸軍あるいは戦勝国の側からも多角的に検討することが歴史解釈を深めるためには必要と考えるようになった。以上から、本研究班では第二次世界大戦における救護看護婦の活動を解明するという目的のもと、引き続き1業務報告書、体験記を含む関連資料と元救護看護婦のオーラルヒストリーをもとに明らかにした実態を、その活動の根拠や背景となった法令、社会制度、時代的文化的要因のもとに分析することにした。2)研究方法第二次世界大戦における日本赤十字社救護班の業務報告書(約200冊:日本赤十字社所蔵)を主たる一次史料とし、体験記や関連資料を参照する。オーラルヒストリー調査では、第二次世界大戦において活動した元救護看護婦(9名)を対象とした。なお対象の条件として、説明と同意のプロセスにおいて意思決定が可能な程度の認知力のある方とし、対象者は日本赤十字社支部からの紹介が得られた方、あるいは「戦争体験を語る会」などで活動を行っている方から募集し、協力を依頼した。調査期間は平成25年4月1日~平成27年3月31日(2か年)であった。また研究成果は、下記学会で発表、交流セッションを実施し、意見交換を行った。平成25年9月American Association History of Nursing(Ohio, US)にて発表平成26年8月日本看護歴史学会(岐阜)にて交流セッションを実施平成27年1月第19回看護政策・経済研究会(東京慈恵会医科大学)にて発表分析は、満州(山崎)、フィリピン(鷹野)、ビルマ(川原)、長崎(吉川:研究協力者)と地域に分かれて行った。結果考察についても地域別に分けて記載した。倫理的配慮として、歴史的資料については、関係機関の同意・協力を得た範囲で適切に使用・公表するように努めている。またインタビュー調査では協力者の個人情報を保護するため匿名化することがあるが、歴史に関する調査では誰が語った内容であるかが重要な意味をもつ場合があるため、最初の時点で、協力者に公表時の匿名性についての希望を確54