ブックタイトル平成26年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

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概要

平成26年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

12する参加者がいた。研修内容を「これからの臨床指導者」や「スタッフ」にも伝えたいということが語られた。このように、今回の学びを実際の実習指導で生かすための課題に気づき、指導者間の連携など実習環境を整えたいという意識が芽生えていた。c.考察参加者は、研修を通して自分自身の指導を深く振り返ることになり、それらを通して、学生を理解したり実際の実習指導を方向性のつかんでいると考えられた。特に、普段の所属から離れて、実習指導を志す人とともに学び合う時間は、自分自身を深く振り返り指導を考える体験につながったと考える。そして、研修での学びを指導に生かしながら、自施設に学びを広げようとするなど、研修会は指導者自身の成長のきっかけになることやキャリアアップにつながることが示唆された。学生が、患者とのケアの中での「ケアする」体験と、指導者との関わりの中で「ケアされる」体験を通して成長していくように、指導者の成長にも、学生を指導する「ケアする」体験とともに、研修会などのピアサポートを通して「ケアされる」体験が必要なのではないだろうか。本研修が、学生指導の本質を学びあう場であるとともに、「ケアされる」体験が得られるような場となることが示唆された。d.結論参加者たちは、研修を通して、自分自身の指導を振り返り、実習の方向性を知るという体験をしていた。多施設と大学の共同企画による本研修会は、実習指導を行う人たちのピアサポートの場になることが示唆された。3.大学での技術演習見学の体験a.技術演習見学の実際と参加者今年度は小児看護学を除いて昨年度と同様に、基礎看護学領域(28コマ)、成人看護学領域(6コマ)、老年看護学領域(4コマ)および母性看護領域(2コマ)の中で技術演習見学を行った。参加者は38名、それぞれ1~5回の参加で、延べ人数としては73名であった。b.結果アンケート自由記載でも断片的に記載されていたが、参加者自身の学生だった頃の体験とすり合わせていくプロセスが詳細に語られていた。昨年度の分析結果と同様の結果であったが、今年度はさらに、詳細にそのプロセスの分析を試みた。【衝撃】学内演習での学生の様子は、「衝撃」と語られ、強い印象を与えるようであった。その印象の背後には「私たちがいたときには、きちんと身なりとかも絶対、少しでもなんかあると絶対受けさせてもらえなかったのが、あ、これでも平気なんだなーっていうのもあった」と語られたように、参加者自身が学生だったときの体験が背後に立ち現れるようであった。【悶々と引きずる】衝撃的な体験は、そのことをどう捉えればよいのかといった、「問い」になって、参加者に残った。「(学生の行動に)え?と思って。(中略)こんなんじゃだめだななんてわりとすごい否定的な気持ちで私その演習を見学した後しばらく悶々とするぐらい引きずってて…」との語りからは、「え?」というなにかしらの解釈しがたさを伴って83