ブックタイトル平成26年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

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概要

平成26年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

15え、「自分もそうだな、もうちょっと目が返せると学生はより安心するのかな」と自分に置き換え自分自身の指導態度を評価していた。(2)指導のヒントを得る他の実習指導者による指導を見学することで、学生への関わり方がイメージでしかなかったものを現実に見ることができ、学生への質問の投げかけ方や、学生が思っていることを言える環境の作り方、どのような流れで行うか、どのように関わればよいかなど指導のヒントを得ていた。指導の仕方は指導者によって様々で、学生の反応も異なることに気づいていた。例えば、指導者の投げかけ方によって学生が嬉しそうな顔をしたり、学生が考えている事や気づいてなかった事をどんどん引き出したり、学生のその日の学びが充実したりする様子を見て、指導による学生の反応を見て取ることが出来ていた。また、指導者、教員、学生、スタッフそれぞれの「関わり方が全体的に学生さんが学べる場になっている」ことを学んでいた。そして、話しやすそうで穏やかな雰囲気で教え方が丁寧で「こんな指導をしたい」と手本にしたい指導者の姿もあった。また学生指導だけではなく、指導者同士で実習指導に関する情報交換の仕方や、学生を受け入れる前日の様子を学ぶ機会も得ていた。一方、指導の様子を見学することは、新たな指導のヒントを得るほか自分の指導が「これで大丈夫なんだと確認」することができるものでもあった。(3)学生の置かれている状況が分かる見学施設に出向いて緊張しているとき、自分も学生と同じ状況にあり「初めて独りぼっちっていう感じ」を味わい、温かく迎えてくれて笑顔で声をかけてもらえると、「大丈夫だよって言ってもらえてるみたいで、かなりほっとした」と感じていた。一方、学生が「いかに顔色悪く緊張」しているかを実感し、緊張のなか「考えて考えて一生懸命やってる」「決してさぼったりしていない」ことがよく分かり、学生がどんな状況に置かれているのか、また指導者が陥りやすい傾向に気づかされていた。(4)客観的な目線で見るこの実習指導見学は、指導者・学生・教員の細かなやり取りを「第三者の客観的な目線で」みることが出来、これほどたっぷりと時間をかけて客観的に観察できる機会はなかなか無いと捉えていた。d.考察実習指導者は、学生指導を担えるほどのキャリアを持っていることもあり、同じ部署の同僚から自分の指導に対する評価を得ることが難しい状況にあった。そのため、他の実習指導者の実習指導を見ることでしか自分自身を振り返ることが出来ないことが明らかにされた。従って、臨床経験が豊富な実習指導者や、これまでに実習指導経験がある人にとって、他者の指導を見ることは自己評価に繋がることが示唆された。本研修会で教育原理や実習指導の基本的な考え方を学ぶ機会があるが、実際にどのように展開するかは個々の工夫に委ねられる部分が多い。しかし、実習指導者による指導の実際を見ることで、手本となるような具体的な学生との関わり方を学び、指導に応用できるヒントを与えることが示唆された。実習指導を見学することで、その場の学生の状況をありありと理解することが出来ていた。それは指導者・教員・学生を客観視することで見えてきた姿であったことが分かる。86