ブックタイトル平成26年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

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概要

平成26年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

取り、方向性を明示することがプロジェクトメンバーを動かし、各施設へのラダー導入を促進すると考えられた。促進要因に示すように保健省内に短期専門家の拠点を確保できたことで担当部門の部長やスタッフとの距離が近くなり、コミュニケーションがとりやすくなった。また短期専門家との顔の見える関係による信頼関係が形成されていったことも促進要因になった。i地方の協力病院のラダー導入担当のPDCAサイクル活用により導入促進に動いていたことについては、それぞれの地域が距離的に離れていることにより地域主体で進めることの意識づけがあることも影響していると考えられた。一方、抽出された阻害要因からは、ラダー導入と同時期に国家レベルの政治・政策の変動という事案が重なったことが大きい要因となった。保健省のラダー導入プロジェクトメンバー全員がそれらに関わることになり、裁量権をもつプロジェクトメンバーはラダーに関する取り組みを他者に委譲できず、ラダー導入の優先順位が下がることになった。b.の海外から得た情報を共通理解し吟味して物事を進める経験が少ない、という要因については、キャリア開発ラダーについても海外からの国際協力を受けて導入されていたが、ほとんど動いていなかったことから抽出した要因である。また、この時期、イ国と大学教員である短期専門家双方の日程調整が困難であったこともラダー導入を停滞させたと推察する。平成26年9月にフォローアップの確認のために導入が進んでいる2つの協力病院の看護管理者と保健省担当部門の部長へ現状についてインタビューする機会を得た。この結果の詳細は第2報で報告することとするが、おおむね順調に導入が進んでいることを窺わせるものであった。この中間時点での動きは、イ国において今後のラダー導入のモデルとなることを感じさせる内容であった。2億4千万の人口をもつイ国で、それぞれの地域の中核となるプロジェクトの大学教育関係者とその協力病院のネットワークを背景に、関係者の強いリーダーシップと質の高い看護を提供できる実践力をもつ看護師の育成への期待がもてる結果となっていた。結論として、今回のキャリア開発ラダー導入に関する分析により、ラダー導入プロセスに影響を与える促進要因と阻害要因を明らかにできた。これらの要因は、今後イ国にキャリア開発ラダーを根付かせていくために活用できるものであると考える。(5)謝辞今回の研究を進めるにあたり、インドネシア国保健省関係局長はじめ関係局部長、プロジェクトメンバーの皆様、地方のカウンターパートである関係機関、協力病院の皆様、JICA本部、インドネシアで活動されているJICAインドネシアプロジェクト長期専門家の皆様方の多大なるご協力をいただきました。その結果この研究成果が得られたことに深く感謝申し上げます。なお、本研究は、平成25年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」を受けた研究であることを申し添えます。94