ブックタイトル平成27年度「学校法人日本赤十字学園教育・研究及び奨学金基金」教育・研究事業報告書

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概要

平成27年度「学校法人日本赤十字学園教育・研究及び奨学金基金」教育・研究事業報告書

また、界面活性剤の濃度以外に、組織への抗体の浸透性を改善するための反応液の検討も必要である。Renierら(2014)は、iDISCOと名付けた組織への抗体浸透性を改善するプロトコールを発表した。この方法を追試したが、組織を酸や有機溶媒で処理し、通常の標本作製法よりかなり組織変性が強いものと思われ、染色状態も良好とはいえなかった。時間もかかり、決して容易ではないプロトコールである。電界撹拌法を併用すれば、もう少しマイルドな反応条件で、抗体浸透性を高めることができる可能性が考えられる。より効率の良い新たなプロトコールの開発が今後の課題である。1効果的な組織立体画像のプレゼンテーション法の検討と動画教材の配信動画制作や配信の環境については、私立大学等教育研究活性化設備整備事業により日本赤十字豊田看護大学で整備された状況となり、一度良い組織立体画像が得られれば、相応の手間と時間はかかるが、動画教材を作製できる状況であることが確認された。形態機能学、病理学等の講義での利用とともに、学内のイントラネット配信により、学生が随時閲覧して繰り返し見ることができる環境が整った。組織立体画像の蓄積は時間のかかる作業であるが、今後、さらにコンテンツの充実を図る必要がある。(5)結論組織学を含めた人体の構造、機能は、看護教育における初年度に行われる。看護師になるという明確な目標を持って入学するが、そこで学ぶ医学は日進月歩で新しい情報が加わり、難解な内容も多く含まれている。学年が上がり、看護の専門課程で学ぶ内容を修得すれば、人体の構造、機能の深い理解の必要性がよく理解できるようになるが、初年度の段階では看護の専門課程との関連が直ちに理解しにくく、学習意欲が低下する学生が出てくることも危惧されるところである。視覚的に理解しやすいように工夫した教材を用いることによって、出来る限り複雑な人体のしくみをわかりやすく示し、興味を持ってもらえるように工夫することは重要であるが、そのためには、基礎研究の成果を含めた様々な技術的裏付けが必要である。蛍光抗体法については、まだ十分なサイズの立体組織を染色する簡易な方法の開発には遠いが、バックグラウンドである研究を教育に還元する普段の努力によって、教材を蓄積し配信していくことは、看護学部で医学教育に携わるものとして、重要な活動である。(6)謝辞本研究は、日本赤十字学園教育・研究及び奨学金基金の援助を得て、細かい技術的な面を含めた検討を行うことができた。サクラファインテックの応治比呂美様、山下貢様には、電界撹拌法装置の利用、検討を快諾していただき、技術的な指導をいただいた。また、日本赤十字豊田看護大学に私立大学等教育研究活性化設備整備事業により導入された動画作38