ブックタイトル平成27年度「学校法人日本赤十字学園教育・研究及び奨学金基金」教育・研究事業報告書

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概要

平成27年度「学校法人日本赤十字学園教育・研究及び奨学金基金」教育・研究事業報告書

の人々」「ピア」「専門職者」というように、「人」に起因する環境であるため、人的環境といえる。【居場所の存在】や【ユニバーサルな社会資源の存在】という環境のストレングスは、訪問看護師が環境のストレングスと捉えた理由にある通り、《安全基地の存在》や〈喜びを得られるきっかけとなる場〉など、「場」と捉えており、物的環境と考えることができる。一方で、〈役割の獲得〉や〈活用できるインフォーマルなサービス〉という社会的な環境も含んでいる。ゆえに【居場所の存在】や【ユニバーサルな社会資源の存在】という環境のストレングスは、物的環境と社会的環境を包括した環境のストレングスと考えることができる。(2)社会的環境へつなげる人的環境と物的環境のストレングス【家族の存在】【社会の人々の存在】【ピアの存在】【専門職者の存在】の人的な環境のストレングスは、人的環境の中に「目的を作ってあげて、ちょっと誘ってみる」など〈背中を押してくれる存在〉や、社会的な結びつきと関連のある〈一住民であることの意識〉、〈社会と自分を調整してくれる存在〉など、利用者を社会的環境へ繋げるための環境として機能していると考えることができる。【居場所の存在】という物的環境に関しても、利用者を社会的環境に繋げるものから成り立っていると考えられる。例えば、《生産性の獲得》は「(利用者が)アルバイトしていたのですが、とんとん拍子に正社員になりませんかということで、今月から正社員になられたんです」に代表されるように、〈役割りの獲得〉〈就労支援の存在〉から成り立っており、就労という社会的な要素が含まれている。【ユニバーサルな社会資源の存在】という環境のストレングスは、《生活の質的変化を及ぼす資源》という理由から構成されており、〈喜びを得られるきっかけとなる場〉、〈活用できるインフォーマルなサービス〉は畑仕事やスーパーなど、一見、職場と違い公的な社会ではないものの、自宅以外の社会的な要素が含まれている。以上のように、訪問看護師が捉える環境のストレングスの種類は、人的環境と物的環境がメインである。しかし、人的環境や物的環境と捉えた理由には社会的環境の要素や社会的環境へつなげるという機能が多く含まれており、人的環境も物的環境も利用者を社会的環境へ方向付けるために活用されていた。2)環境のストレングスの活用方法の技術(1)環境のストレングスとして活用するタイミングの技術環境のストレングスになるものは、人的には【家族の存在】や【社会の人々の存在】、物的・社会的には【活用できるインフォーマルなサービス】など何処にでも存在している日常的なものである一方、看護師が使うタイミングや使う利用者の見極めをしている。例えば、「彼(利用者)の家の向かいに大きな畑があるんです。畑を彼(利用者)にとっての環境のストレングスだと前から思っていたんですよ。春になったから一緒50