ブックタイトル平成27年度「学校法人日本赤十字学園教育・研究及び奨学金基金」教育・研究事業報告書

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概要

平成27年度「学校法人日本赤十字学園教育・研究及び奨学金基金」教育・研究事業報告書

研究活動報告書1.研究活動テーマ訪問看護における初期アセスメントの重要性2.研究活動組織研究活動者:教授福井小紀子共同研究者:博士後期課程石川孝子3.要旨訪問看護師による終末期がん患者への意思決定支援と患者の希望死亡場所での死亡の実現との関連により初期アセスメントの重要性を明らかにするために、全国1,000事業所のうち、3週間以上自宅で過ごした終末期がん患者を受け持った訪問看護師に質問紙調査を実施した。調査項目を患者の死亡場所および希望死亡場所、訪問時期別の意思決定支援実施の有無、意思決定支援が行われるための関連要因とし、ロジスティック回帰分析を実施した。374名を分析対象とし、自宅死亡は65.0%、希望が実現した患者は73.8%であった。生活上に関する予後の「説明なし」に比べ、「複数回の説明あり」(調整済オッズ比: 95%信頼区間; 2.94: 1.33-6.49)のほうが、希望死亡場所での死亡の実現と関連した。複数回の説明のためには訪問初期からのアセスメントが必要であることから、終末期がん患者の希望死亡場所での死亡の実現のためには、初期アセスメントが重要である可能性が示唆された。4.キーワード訪問看護終末期がん意思決定支援初期アセスメント5.研究活動報告(1)研究活動の背景・目的終末期医療に関する国内外の調査報告書によると、死期が迫っている場合の療養場所として、多くの人は自宅で療養することを望んでいる(Fukui, Yoshiuchi, Fujita, etal. ,2011)。研究者が修士論文として調査した都市部の一般市民に対する終末期意識調査の結果でも、47.7%が自宅療養を望んでいた(石川・福井・澤井, 2014)。しかし、実際は自宅死亡の割合が漸減し続け、1951年は82.5%であるのに対して、2012年は12.8%(厚54