ブックタイトル平成27年度「学校法人日本赤十字学園教育・研究及び奨学金基金」教育・研究事業報告書

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概要

平成27年度「学校法人日本赤十字学園教育・研究及び奨学金基金」教育・研究事業報告書

3生活上に関する予後の説明と希望死亡場所での死亡の実現の実態1)回数別の生活上に関する予後の説明と希望死亡場所での死亡の実現との関連訪問看護師が患者に対して実施した生活上に関する予後の説明を、「訪問時期別(訪問初期・悪化期・臨死期)」「回数別(1回・複数回)」「実施者別(医師・看護師)」「対象者別(患者・家族)」にそれぞれ分類し、希望死亡場所での死亡の実現の有無との関連をロジスティック回帰分析にて検証した。ロジスティック回帰分析の実施における調整変数は、希望死亡場所での死亡の実現の有無を従属変数として、訪問看護師からみた関連要因(1)看護師要因、(2)医師要因、(3)患者・家族要因と単変量解析を実施し、p<.10の関連がみられた16変数のうち多重共線性を考慮した1変数を除いた15変数とした。訪問看護師が実施した訪問時期別の生活上に関する予後の説明の実施状況を確認した結果では、患者に対して生活上に関する予後の説明をした人数には訪問時期別に違いがなく、訪問初期に説明している看護師は悪化期、臨死期にも説明をしており、訪問初期に説明していない看護師は悪化期、臨死期にも説明をしていないという結果であった。そこで、訪問時期に関しては、訪問時期別に分類をしないこととし、説明回数別に「説明なし」「1回説明あり」「複数回の説明あり」の3カテゴリーに分類した。訪問全時期を通じて、「説明なし」は233名(62.3%)、「1回説明あり」は38名(10.2%)、「複数回の説明あり」は103名(27.5%)であった。この3カテゴリーと調整変数を強制投入して、希望死亡場所での死亡の実現との関連をロジスティック回帰分析にて検証した。「説明なし」に比べ「複数回の説明あり」のほうが有意に希望死亡場所での死亡の実現と関連していた(調整済オッズ比:95%信頼区間2.94:1.33-6.49)(表4)。表4.回数別の生活上に関する予後の説明と希望死亡場所での死亡の実現との関連n= 374人数(%)オッズ比95%信頼区間下限上限説明なし233 (62.3)1.001回説明あり38 (10.2)1.730.674.44複数回の説明あり103 (27.5)2.941.336.49Hosmer&Lemeshow:.650、モデルχ2検定:p<.001、判別的中率:74.2%希望死亡場所の実現とp<.10の関連のみられた変数で調整したロジスティック回帰分析調整変数は、以下の変数である。(1)看護師要因:1年齢、2性別、3アセスメント用の書式の有無、4看護師全般の通算経験年数、5患者と訪問看護師との関係性、6家族と訪問看護師との関係性(2)医師要因:変数なし(3)患者・家族要因:7原発疾患(肝臓、胆のう、膵臓)、8予後予測のしやすさ、9家族のコミュニケーション障害、10臨死期の患者の自宅療養の不安、11臨死期の家族の自宅療養の不安、12臨死期の介護負担、13臨死期の患者のがん治癒に向けた治療への姿勢、14患者の病院医療の限界についての理解、15患者への余命の告知の有無従属変数は、希望死亡場所での死亡の実現「あり」=1、「なし」=0とする。63