ブックタイトル平成27年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

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概要

平成27年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

が課題とされた。災害看護学の領域は、災害救護実践の蓄積はあるが、学術としての構築が途上である。このことに加えて、災害を前提とする教育にあって、災害急性期に教育としての実践機会が得られにくいことが教育内容・体制構築を困難にしていると思われる。また、現在災害看護学を専攻とする大学院教育課程は少なく、災害看護学を専門とする教員の確保に影響しているのではないだろうかと思われる。2)災害看護学の周知と活動場の確保災害看護学は、開始されたばかりの学問領域である。被災者や看護職以外の人々も被災地域で活動する看護職を直接的、間接的に目にするであろう。しかし、看護職は、災害時にどのような役割があり、どのような活動をするのか、非災害時にどのような活動や役割があるのか、明確に知られてはいない。今回の調査においても<防災、災害活動における看護の役割が地域に知られていない>ことから【災害看護の役割を発信する】が導かれた。このことは、同時に災害看護学専攻の修了生にとっては【修了生の活動の場を開拓する】ことにもつながる。災害看護の役割、活動内容への理解を促し、災害看護の貢献、および修了生の活動の場を拡大するために、〔CNS自ら地域活動参加に取り組む〕、あるいは〔A社は内に留まらず外部に発信し、承認をえる〕という自ら行動することが重要である。3) A社と教育機関(大学)の連携A社は、長い災害救護経験を持っており、組織的な救護活動を展開する。しかし、災害看護専門職を養成する大学との連携は、充分とは言い難い。このことは、課題として【人材育成、災害支援活動において大学、本社・支部が連携する】にあらわされた。<人材育成、災害派遣に大学と支部間に壁がある>や<災害支援活動派遣の経費負担・保険・派遣要件等が共有されていない>現状から、教育機関は自律して〔教員や学生の能力を活用し、独自に災害支援活動を展開する〕。一方、A社と教育機関の関係を活かしそれぞれの組織を超え〔大学とA社で災害時の人材活用ルールを決める〕ことや、さらにA社、教育機関を超えて〔組織内外のCNS教育の機会を活かす〕必要があることが示された。このことは、長い災害救護経験を持つA社と災害看護専門職の育成を役割とする教育機関の連携が、教育内容・体制の整備、および何よりもこれまでの救護経験を活かし、災害看護学の発展に寄与することを期待させるものである。今回の討議の機会のように、双方が参加し、検討する機会をまずもつことが必要である。(5)結論課題1.A社、関連6大学が参加した今回の調査では、組織を超え、それぞれが取り組む上級の災害看護教育の現状と課題を明らかにした。A社、関連大学という、限定された参加ではあるが、災害看護学領域への貢献が期待される教育機関である。学術、実践の専109