ブックタイトル平成27年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

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概要

平成27年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

研究報告書1.研究テーマ認知行動療法を用いた新卒看護師のメンタルヘルスプログラムの開発2.研究組織研究代表者:日本赤十字広島看護大学・准教授・笹本美佐共同研究者:日本赤十字社広島赤十字・原爆病院・看護部長・籠島政江日本赤十字社広島赤十字・原爆病院・看護師・三浦真衣3.要旨新卒看護師81名を対象に集団認知行動療法を用いた抑うつ予防のための研修会を3回実施した。3回の研修会に参加し、研究の同意が得られた51名を対象として、抑うつ対処の自己効力感とATQ-Rによるプログラム評価を実施した。その結果、いずれも有意差が得られず、効果があったとはいえなかった。今後は、対照群との比較も含めて検討していく必要がある。また、本プログラムの課題として、11週間程度の間隔で実施することで内容理解の強化を図る、21回の内容を精錬し実施回数を検討する、3ホームワークにおける身体的負担、ストレスや困難感の軽減が図れるように研修方法や内容を検討し、ホームワークを定着させる、4研修中に効果を体験することで十分な動機付けができるように十分なファシリテーターを配置する、5比較的短時間で効果が体験できるように、認知再構成法だけでなく行動的介入として問題解決技法の活用も検討する、が明らかとなった。4.キーワード新卒看護師メンタルヘルス集団認知行動療法研究報告5.研究報告(1)研究の背景・目的近年の医療の高度化ならびに多様化による医療環境の急激な変化は、看護師に身体的精神的な過重負担を招き、ストレスフルな状況下での仕事によって抑うつ状態を引き起こしていることが示唆されている(三木、2002)。2011年病院看護実態調査では、1ヶ月以上の長期病気休暇を取得した看護職の約3分の1がメンタルヘルスの不調によると報告されている。このような長期休暇によって生じる経済的損失やマンパワー不足が現場の負担を大きくし、離職につながるなどの負のサイクルを惹起させる可能性が懸念される。加えて、看護師のメンタルヘルスの不調は看護の質の低下や医療事故との関連性が否定できない(川口ら、2005)。以上に鑑みると、看護師のメンタルヘルスへの取り組みは深刻かつ急務な課題である。119