ブックタイトル平成27年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

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概要

平成27年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

と廿日市市との包括連携・協力協定のもと、開発後30年経過し人口減少や高齢化が著しい阿品台団地をモデル地域とし、「阿品台いきいきプロジェクト」を実施した。本事業では、都市型準限界集落の現状を把握、分析し、地域の課題やニーズを明らかにすること、さらに、大学生との交流も含め、住民参加型の地域づくりを目指し取り組んだ。この取り組みの中では、高齢化の進む団地において、地域住民は、「認知症や健康障害をもつ高齢者が多い」、「老々介護や寝たきりが多い」、「引きこもりやうつ状態の人が多い」、「近隣とのつながりが乏しい」など、さまざまな健康危機管理に対する不安を抱えていることが明らかになった3)4)。厚生労働省健康危機管理基本指針では、「健康危機管理とは、医薬品、食中毒、感染症、飲料水その他何らかの原因により生じる国民の生命、健康の安全を脅かす事態に対して行われる健康被害の発生予防、拡大防止、治療等に関する業務」とされている5)。篠田らは、地域健康危機における保健師の役割として、日々の保健福祉活動の中での地域住民の暮らしぶり、健康課題、人々の関係性、地理的な特徴等の把握が必要であると述べており6)、北田らは、地域の防災力を引き出す保健師の役割として、住民の「自助」「共助」を高める働きかけが重要であると述べている7)。このように、地域の防災等健康危機管理には、地域の特性や地域住民のニーズを明らかにし、行政による「公助」のみではなく、住民による「自助」「共助」を高めることが重要であるといえる。東日本大震災後、各地域で自主防災組織づくりが盛んに行われている。その発展途上ともいえる今日、各地域で抱える課題としては、高齢化が進むことによって、要援護者の増加とそれを支える人々の支援の優先順位などがある。そこで、本研究では、全国的に問題となっている都市型準限界集落における防災等健康危機管理についての概念を明らかにし、同ガイドラインを作成し、その評価を行うことである。それによって、高齢化が急速に進む都市型準限界集落の団地問題の解決に資すると思われる。(2)研究方法1)研究対象者廿日市市内の都市型準限界集落団地を担当する住民2)研究期間平成26年7月~平成27年1月3)データの収集方法・手順1データ収集方法質問紙を作成し、防災等健康危機管理についての現状把握を行う。対象地域2か所のコミュニティ代表より、各町内会長にアンケート調査の依頼してもらった。次に、各町内の会長にアンケート用紙を送付し、町内会毎に各5部のアンケート調査を依頼し、計703名配布した。回収については、返信用封筒を同封し、市民センターに回収ボックスを置き、返信をお願いした。2調査項目調査項目は、属性(年齢、同居家族、地域への居住年数)、ソーシャルキャピタルに関する内容、防災等健康危機管理の状況(防災で気をつけていることとその内容、防災訓練の参加状況)とした。3データの分析方法質問紙については、記述統計を行い、防災等健康危機管理についての現状把握と事135