ブックタイトル平成27年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

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概要

平成27年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

られた。これまで看護学に限らず、様々な理由から大学になじめない学生が増えてきているが、主として学力面における適応困難と、人間関係におけるコミュニケーション能力不足が挙げられてきた(山田,2006;谷島,2005;野波・近藤・玉本,2011)。そういった意味では、今回の内容も類似の状況が示された。また、大久保・佐竹・大橋他(2011)は看護学導入時期に学生が感じる困難性として、【今までとは異なる学習方法】、【慣れない環境】、【科目の位置づけの認識不足】、【学習資源の不便さ】、【看護学に対する学習意欲、動機づけの違い】を明らかにしている。サブカテゴリーの内容を見ると類似した結果となっているが、求められる学習内容の点を学生自身が語った点は、先行研究では十分に示されていない。また、本研究では、学生たちが学習上の困難を語るだけでなく、それに対してどのように対応しているか、また何が必要かということを自覚していることが示されており、教員との相互作用の中で、主体的に能動的に学習する必要性を感じ、そのスタイルを各自が確立しつつあることが明らかになった。教員は学生の成長している様子を捉えつつ、初年次以降も大学での学習に対して課題をもつ学生については丁寧に対応していく必要性を述べていた。また、経済的課題や家族関係の課題など、学習方略の確立とはまた別の要因についても語られており、これらについては初年次教育という対応だけでは不十分であることも考えられた。(5)結論結果および考察から、学生は高校との授業の違いから、学習範囲の広さと展開の速さ、教員の教え方や関係性、学習で求められる内容、学習時間の確保などに戸惑っていたが、復習や予習を行い、授業の受け方を工夫しつつ自主性や積極性を意識し、危機感を抱きながら能動的学修に取り組んでいる状況が明らかになった。教員についても、初年次の学生の学習上の困難の捉え方は共通する点が多く、それらを克服できるように学生個々の状況にあわせて対応していることが語られた。今後は、さらに詳細な分析を行い、質問紙調査に反映する予定である。(6)謝辞なお、本研究にご協力をいただきました学生および教員の皆様に心より感謝いたします。また、インタビューを担当してくださった研究協力者の皆様に深く感謝いたします。本研究は、平成27年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」を受けて実施しました。(7)引用文献安達祐子・菅野正子・谷岸悦子・金井悦子(1997).看護学生のスタディスキルスの実態.日本赤十字武蔵野短期大学紀要,10,34-40.安達祐子・谷岸悦子・草地潤子・菅野正子・金井悦子(1998).看護学生のスタディスキ15