ブックタイトル平成27年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

ページ
20/152

このページは 平成27年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書 の電子ブックに掲載されている20ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

ActiBookアプリアイコンActiBookアプリをダウンロード(無償)

  • Available on the Appstore
  • Available on the Google play

概要

平成27年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

ティア・団体等が協働して地域の安全を守る)」というふたつのソフトパワーの重要性が強く認識された。これを受けて、平成25年の「災害対策基本法」の改正では、地域コミュニティにおける「共助」による防災活動の推進の観点から、市町村内の一定の地区の居住者及び事業者(地区居住者等)が行う自発的な防災活動に関する地区防災計画制度が創設された(内閣府ホームページ「みんなでつくる地区防災計画」http://chikubousai.go.jp/basic.php?eid=00010)。しかし、秋田県におけるモデル地区事業はまだ行われていない状況である。大学キャンパスを核とした防災拠点の形成については、大学が単なる敷地や施設を提供する役割を果たすだけではなく、学生ボランティア活動の提供や大学の専門性を活かした外国人被災者の支援といった面で、市町村と災害時援助協定を結んでいる事例も見られるという(村上, 2009 http://kouzou.cc.kogakuin.ac.jp/Open/campus/)。特に東日本大震災を経験した東北地域や、近い将来に大地震の発生が予想されている東海地域では、静岡大学、東北福祉大学、東北学院大学等で既に取り組みが始まっており、地域防災対策に果たす大学の役割が大きくなってきていると言えよう。日本赤十字秋田短期大学・日本赤十字秋田看護大学(以下、本学)は、秋田市立上北手小学校区の指定避難所(収容能力人員427人)として地域防災対策の役割を担っているほか、本学のグラウンドは4700人を収容する避難場所となっており、(http://www.city.akita.akita.jp/city/gn/ds/menu05a.htm)、ハード面で地域の防災拠点として位置づけられている。一方、ソフト面では、本学は2013年から日本赤十字社秋田県支部と連携し、「生きるために」「命を救う」「避難所生活を助ける」等のテーマを設定し、キャンプ活動を通した防災教育を展開している。この活動は、大学生がキャンプ体験を通じて学んだ防災の知識や技術を、小学校高学年の子どもたちに伝えるという試みからスタートし、さらにこの試みを地域の高齢者や外国人をはじめ、一般の地域住民に伝えるという構想を持っており、大学を拠点とする地域防災活動を推進する一形態と位置づけることができると言えよう。しかし、災害への対策能力である「防災力」に関しては、実際に災害が起こってからでなければ本当の検証ができないという難しさもあり、様々な取り組みの効果については充分に検証がなされていない現状がある。本研究は、「赤十字みんなの防災デイキャンプ(以下、防災キャンプ)」と称する災害を想定したキャンプ活動を通じ、地域住民の「防災力」がどのように向上するかについて検証することを目的とする。本研究によるこの取り組みは、本学と日本赤十字社秋田県支部が相互の強みを活かして連携し、地域の特性に配慮しつつ、災害に強い地域づくりと地域住民の「防災力」の向上を目指すものである。したがって、今後、地域の「防災力」の向上に果たす大学の役割の明確化と、社会から求められる大学のあり方を検討するための重要な資料になるものと思われる。18