ブックタイトル平成27年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

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平成27年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

5.研究報告(1)研究の背景・目的a.研究の背景と動機グローバル化に伴い、日本では学士課程教育の質的転換が求められている。次代を生き抜く力を学生が確実に身に付けるための大学教育改革が、学生の人生と我が国の未来を確固たるものにするための根幹であり、国を挙げてこれを進める必要があるという認識のもとに審議が重ねられ、答申が出された(中央教育審議会,2012)。答申では、生涯にわたって学び続ける力、主体的に考える力を持った人材は学生からみて受動的な教育の場では育成することができないため、学習が主体的に問題を発見し解を見いだしていく能動的学修(アクティブ・ラーニング)への転換が必要であるとされた。能動的学修(アクティブ・ラーニング)には、学生に授業のための事前準備、授業の受講や事後の展開を促す教育上の工夫等が必要であり、学生の主体的学修を支えるための教育方法の転換と教員の教育能力の涵養が必要である。看護学教育では、「社会のヘルスケアニーズの変化に対応していくために、看護職自身が看護現象を社会の変化の中で構造的に捉え、倫理的な判断に基づいて自主的に行動できる主体性を持った専門家であることが必要である」ことが、平成14年にすでに述べられており(大学基準協会,2002)、大学における看護系人材育成の在り方に関する検討会報告書(文部科学省,2011)にも、「今後すべての看護師等には、主体的に考え行動することができ、保健、医療、福祉等のあらゆる場において看護ケアをできる能力を、生涯を通じて獲得していくことが求められている」とあり、従来から主体的かつ生涯にわたる学びの必要性について論じられ、教育現場でも考慮されてきた。主体的能力の形成をねらって、看護教育では以前より問題解決型学習等が取り入れられ学生の主体性を育む工夫がされており、初年次教育で導入したうえでの効果も報告されている(石井・鹿嶋・布花原他,2012)。ところが大学全入時代において、看護系大学に入学する学生の学ぶ力も多様となり、能動的学修を促進するにはいくつかの課題もみられる。例えば、講義での教員の言語による説明内容から重要点をくみ取りノートすることに難しさを覚え、穴埋め式のプリントではないと授業についていくことができない、知的探究心はあるものの調べ方がわからずに調べることをあきらめてしまう、自ら問題解決をするのではなくすぐに答えを要求するなど、学習スキル自体も十分と言い難い学生の姿もある。このような姿からは、主体的に問題に立ち向かって思考し、答えを導いていくという能動的学修をしていく力が十分ではない様子もうかがえる。学生が示す様相の背景として、ゆとり教育の弊害が理由の1つとして挙げられるように、大学入学までに学生が受けてきた初等中等教育での学び方も少なからず影響していると考えられるが、学生自身がどのような難しさを感じているのかについては、体系的に明らかにされていない。また、看護には実践が欠かせないため、大学入学後の学習2