ブックタイトル平成27年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

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概要

平成27年度「学校法人日本赤十字学園赤十字と看護・介護に関する研究助成」研究報告書

5.研究報告1)研究の背景・目的アメリカ看護大学協会(AACN)は、看護学生の減少や病院における看護職の離職率と医療事故の増加といった問題解決を目指して、2004年に「クリニカルナースリーダー(以下CNL)」という新しい看護教育認定プログラムを導入した1)。CNLは、臨床現場において、患者ケアの質を向上するために、看護師のリーダーシップを強化することによって、スタッフ看護師のモチベーションやスタッフ間の一体性の向上を図り、また、エビデンスに基づく看護実践や患者のアウトカム評価によって臨床上の問題を早急に解決していく。そのために、CNLは、医療サービスや医療従事者のコーディネイトを行い、医療全体の質の向上に努めることを専門とする2)。CNLの教育は、マスターコースで行われている。全米でCNLのプログラムが導入されている看護大学・看護学部は100校を超えている。2006年にCNL認定試験が導入され、2014年までには、3,589名が認定を受けている。米国でのCNLの成果は、患者アウトカムが向上し、患者満足度・職務満足度が上がり、さらに施設の経済的な利益につながっている。一方、日本看護協会は、看護管理領域の認定コースを持ち、臨床の看護の質管理についても管理者の役割として教育している。しかしながら、看護管理者は、医療の高度化、在院日数の短縮化、機能分化による連携強化などに伴うシステム作りや連絡調整などの管理業務に多くの時間を費やし、看護実践の改善に十分な手当てができないのが現状である。本研究者らは、日本においても、マネジメントと看護実践の改善を図る役割を明確に分担することが、看護の質向上に効果的につながると考える。日本赤十字九州国際看護大学の国際交流協定校である聖アンソニー看護大学は、CNL教育プログラムを持ち、米国で唯一、日本の看護師(修士以上の課程修了)が将来的に自国でCNL指導者教育を行う認可をCOMMISION ON NURSING CERTIFICATION (CNC)から受けている。そこで、将来的に日本におけるCNL教育の設立を踏まえ、CNLプログラムを担当する聖アンソニー看護大学教員とともに、受験資格を満たす看護教育者・看護管理者を対象に、米国で認定試験を受験できるためのCNL指導者育成研修を開催することにした。本研究の目的は、研修実施後に研修評価を行い、今後のCNL育成の必要性と効果及び研修プログラム改善・教育方法の示唆を得ることとした。2)研究方法(1)対象CNL研修に参加した看護師22名研修受講要件は、1修士号取得者(領域は、看護系または健康科学、大学院生でも可)とした。43